目次
健康づくりのための「エアロビクス」を美しさや難度を競うスポーツに進化させた「エアロビック」をご存じだろうか。「エアロビック」に13年間打ち込んできた女子高生は全国大会で優勝を逃し挫折を味わった。そんな彼女の背中を押してくれたのは10歳の頃から書き続けてきたノートだった。
内気な性格 心配した母が…
「学校の授業で一番苦手なのは?」と聞くと、「数学です」と即答。
可愛らしい無邪気な笑顔が印象的な高野真佑歩さん(16)は、静岡県立富士高校に通っている。
一見すると普通の女子高生だが、13年間あるスポーツを続けている。
力強いキックに、高いジャンプ、そして、安定した着地。高野さんが打ち込んでいるスポーツは「エアロビック」だ。
「エアロビック」は1980年から日本に普及し始め、競技人口は全国で1000人ほどだ。
そのうち静岡県内が360人で、3分の1を占めている。「エアロビクス」とは違う。
「エアロビクス」はジャンプやランニングを組み合わせたエクササイズで、“健康づくり”が目的だ。
その「エアロビクス」を美しさや難度を競う“スポーツ”として発展させたものが、「エアロビック」だ。
7m四方のスペースでキック・ジャンプ・腕立てなどを組み合わせて演技をして、大会では難度・技の正確性・芸術性で総合点を競う。
高野さんがエアロビックに出会ったのは3歳の時だ。
内気な性格を母親が心配し、演技を見せたのがきっかけだった。
幼稚園のお遊戯会ではステージに立つとすぐ泣いてしまい、写真がすべて泣き顔だったそうだ。
以来、13年間 地道な努力を重ね、2024年1月に行われた16歳以下の全国大会では準優勝に輝いた。
エアロビックに出会って、「人前で何かを表現することが好きなった」という。内気な性格が変わっていた。
課題は“大人のイメージ”
高野さんの演技の魅力は全身の筋肉を活かした力強さとつま先まで神経を張り巡らせる表現力だ。
ただ、13年間通っているクラブの監督はまだ足りない点があるという。
IZUMIX・加茂いづみ監督:
表現力もだいぶ良くなってきているけど、とにかく硬い。もうちょっとリラックスして、柔らかいイメージ、大人のイメージをこれからどんどん出していってもらいたいと思います
大会では芸術点も評価に響くため、顔や体の表現力を身につけることが必要だ。空中でのバランス感覚を養うために週2回、体幹トレーニングにも通っている。
真面目なストイックさは普段の生活でも伺うことができた。
筋肉がつき過ぎて体が重くなることを心配して菓子や余分な食べ物は食べないようにしている。高野さんは「友達や家族が食べていると『いいな』と思うけど、自分の演技のために我慢して食べない」と話す。
書き続けたノートに励まされ
エアロビック一筋の生活を続けている高野さんには挫折もあった。
準優勝に輝いた2024年1月の全国大会の時のことだ。家族や友人は活躍に沸いたが、彼女自身はパフォーマンスに納得がいかず悔しさを感じたそうだ。
高野さんは「試合が終わって2日間くらいは落ち込んで学校に行けなくて、ふさぎ込んでしまう感じがありました」と振り返る。
そんな時に背中を押してくれたのが泣き虫だった10歳の頃から書いてきたノートだった。頑張った点や注意したい点を日々書き留めてきた。
そのノートを見返した時に「やっぱり自分はエアロビックが好きなんだ。もっとうまくなりたいという気持ちが自分の芯にあるんだ」と気づいたという。
高野真佑歩さん:
本気で目指しているからこそ楽しいことだけじゃないし、辛いことや悲しいこともたくさんあるけど、逆にそれがバネになってまた頑張ろうと思える。それをエアロビックから学んだと思います
内気な性格だったがエアロビックに出会って前向きな性格に変わった高野さん。
今ではパフォーマンスに悔しさを感じるまでになった。
今後も自分を成長させてくれたエアロビックとともに、より大きな世界へと羽ばたいていく。
【もっと見る! スポーツの記事】