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静岡市立大谷小学校で、地元の養蜂家を講師にキャリア教育の授業が行われました。男性は何度もハチに刺されながら試行錯誤したと、仕事への情熱を語りました。
地元の養蜂家が先生
この日は大谷地区で養蜂業を営む木村友彦さん(65)が講師となって、仕事への思いを子供達に語りました。
年間を通して行われるキャリア教育の授業では、実際に働いている人に仕事の話や信念を聞くことで、これからの自分の生き方を考えるきっかけになることを目的としています。これまでに大工、デザイナーなどが講師を務めました。
「何度もミツバチに刺されました」
木村さんは養蜂業に携わる前はレコード会社に勤め、日本武道館でのコンサートも運営したことがあります。タレントを売り出す仕事にも携わり、いわゆる裏方で支える人達が大事だということを学んできました。
その後、静岡市にある広告代理店に勤務し、静岡県内だけでなく全国を飛び回る日々が続きました。
そんなある日、贈り物で届いたハチミツを食べながら木村さんの妻がつぶやきました。「おいしいハチミツを自分たちの手で作れたらいいな」。
その一言で木村さんは一念発起。農業未経験にも関わらず、養蜂家に転身しました。とはいえ当時は知識ゼロ。先輩養蜂家を訪ねても、最初は全く相手にされません。
養蜂業・木村友彦さん:
自分で実験を何度も繰り返しました。ミツバチには何度も体を刺されました
孤軍奮闘する木村さんは、ハチミツに付加価値を付け販売できるようチャレンジを続けています。
養蜂業・木村さん:
最初は全く相手にされませんでしたが、今では静岡県内の有名な食品スーパーのバイヤーさんが商品の良さを認めてくれて、取引きが実現しています
木村さんは名刺の作成や、ミツバチの給餌器の制作、ファーマーズマーケットで使う商品説明の張り紙制作などを、静岡北特別支援学校に発注しています。
実際の仕事をするのは、障がいを持つ支援学校の子供たちです。これも実社会で仕事に就くための大事なトレーニングとなっています。
ハチミツを守るために何ができる?
授業では木村さんに質問が相次ぎました。
児童:
国産ハチミツを守るために、僕たちができることはありますか?
木村さん:
ほんの2週間、一般の住宅地に巣箱を置いただけで車が汚れた、糞害が出たというクレームがきてしまいます。周囲の理解がなかなか得られない現実があります。でも、ハチがいなくなると野菜や果物も実を結ばなくなります。ハチの役割を正しく理解してほしいと思います
児童:
今の仕事の原動力は何ですか?
木村さん:
師匠の恩義に報いたいというのが原動力です。ミツバチのレンタル事業をされている方に5年間弟子入りして、養蜂を教えてもらいました。仕事は一人でできるものではなく、人とのつながりが大切だと思います
「食べるのがもったいない!」ハチミツを試食
木村さんのハチミツを試食し、違いを確かめました。木村さんから受け取ったスプーンを大事そうに口に入れます。
養蜂の苦労を聞いたあとだけに「食べてしまうのがもったいない」「このまま保管したい」と話す子供も。
食べたあとは、「めっちゃうまかった」「試食に使ったスプーンを捨てずに持って帰りたい」という声もあがりました。
木村さんが作ったとってもおいしいハチミツの甘みが、じわじわと口の中に染み渡るのを感じながら、子供たち一人一人が、自分の将来を考えるきっかけとなる一日となりました。
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