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カツオの集積地として全国的に知られる港町・焼津。おつまみ、おやつとして地元を中心に30年愛される逸品は、偶然から生まれたカツオとチーズのマリアージュでした。
ロングセラー「チーズかつお」
東名・焼津ICからほど近い水産加工品メーカー「石原水産」。
石原水産広報・土橋貴子さん:
チーズかつおはカツオの角煮にチーズを合わせています。カツオ自体も食べ応えがあります
テレビ静岡アナウンサー・小松建太:
おいしい。カツオは甘めですね。どういうカツオを使っているんですか
石原水産・土橋さん:
基本的には焼津港水揚げの国産のカツオを使っています。いぶしたカツオを当社秘伝のタレ、伝統的な味付けで甘辛く煮ることで、おいしくなります
チーズはチーズメーカーと共同で開発したもので、カツオの角煮にマッチ。
塩味がちょうどいいチーズでした。
看板商品の誕生は“偶然の出会い”
チーズかつおの誕生は今から30年前です。パッケージこそ変わったものの、味や形、大きさは発売当時から変わりません。
このロングセラー商品の誕生には、ピンチをチャンスに変えた運命的ともいえる偶然の出会いがありました。
石原水産・土橋さん:
以前作っていたカツオの角煮が、あるとき予想以上に多くの在庫を抱えてしまう事態になりました。カツオの角煮はしばらく保存をしていると品質には問題がないものの、見た目が悪くなってしまうため廃棄するしかなくなってしまうんです
見た目が悪い角煮は廃棄するしかないのか。しかし切ってみると、中はとても良い色です。
石原水産・土橋さん:
どうしようかと思っていたとき、たまたま冷蔵庫の上段にチーズが置いてあって、カツオの角煮とあわせて食べたらおいしかったんです
カツオとチーズの偶然の出会いから商品化の道が見えました。
さらに偶然はもう1つ起こりました。
個包装してから最後にボイルして殺菌をしますが、その際にカツオの上にのったチーズがとけて、良い具合にカツオにまとわりついたのです。
偶然に偶然を重ねてできた製品でした。
魚食をもっと身近に
発売当時、チーズとカツオを合わせたおつまみは珍しく、予想をはるかに上回る大ヒットに。
翌年には第二弾としてマグロを使った商品の販売もスタートしました。
小松アナ:
大きさも見た目も、チーズかつおと全然違いますね
石原水産・土橋さん:
女性にもおいしく召し上がっていただくため、ちょっと小さくしたのと、かわいらしい市松模様のデザインにしました
1つ食べてみると一口サイズで食べやすく、口の中でほろほろと崩れました。
マグロの身を一度ほぐして、もう一度サイコロ状にしているので食感は柔らかく、味付けはチーズかつおよりも甘めです。
小松アナ:
チーズとマグロの比率が1対1になっているので、チーズの存在感が増しています。チーズかつおが“おつまみ”だとしたら、まぐろチーズは“おやつ”という感じ
石原水産・土橋さん:
お子さんにも召し上がっていただけるように、柔らかく仕上げています
石原水産の主力商品はカツオのタタキです。ただ、店やレストランに卸しているので、社名が表に出ることはありませんでした。
創業者がのぞんだのは「石原水産と名前のついた商品」。チーズかつおのように、社名がわかる商品をこれからも開発していきたいそうです。
石原水産・土橋さん:
魚は体に良いのでたくさん食べてほしいのですが、魚が苦手だという方も結構います。そういった方に手間いらずでおいしくいただける製品をたくさん作って、魚食普及に貢献できたらと思っています
個包装なのでどんなシーンでも食べやすい便利な品だと感じました。また「チーズかつお」は東北を中心に人気に火がついたそうです。日本酒と併せた際にとても相性が良かったので、酒どころ東北に広く受け入れられたのかもしれません。
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