
静岡市職員の労働組合が、市立清水病院の医師や看護師を含む病院職員にアンケートをしたところ、次年度以降も継続して働くことを望んだ人が全体の1割強に留まり、約4割が退職を希望していることがわかった。背景には市が表明した“ある方針”がある。
いま、公立病院が苦境に立たされている。
総務省によれば、2024年度は地方独立行政法人を含む全国844の公立病院のうち、実に83.3%が赤字となった。
これは過去最大の割合で、静岡市清水区にある市立清水病院も例外ではない。
同区で進む人口減少の影響もあって、清水病院は過去20年続けて赤字となっていて、2024年度は市が18億円もの運営費負担金を支出しながら、22億5000万円の赤字を計上。
2025年度に至っては運営費負担金が19億円の中、最終赤字は31億円と見込まれていて、実質的な損失額は50億円に上る。
こうした状況に、市の監査委員からは「経営悪化の原因として、これまで経営改善に向けた取り組みを病院職員が一丸となって推進するための組織的なマネジメントを行う機能及び体制が十分に確保されていない」との指摘があがり、清水病院としても課題の改善に向け、2025年度は病院幹部の業務分担を定め、経営改善の進捗管理を実施してきた。
ただ、物価高騰などの影響に対処できず、結果として赤字額が増大することになってしまったと市は分析している。
市としては、このままの経営状況が続けば閉院せざるを得ないおそれがあると判断し、そこで4月24日に難波喬司 市長が打ち出したのが民間である清水厚生病院との“一体的な運用”だ。
具体的には2026年度から厚生病院による運営を念頭に清水病院において指定管理者制度を導入し、2040年を目標に入院機能を清水病院に集約させる。
その際、病床数は日本医師会の医療需要予測に基づき、両病院で現在稼働している445床の9割にあたる400床とし、厚生病院は総合的な診療機能を提供する外来機能のみを残す計画となっていて、難波市長は「当該の2つの病院が、両方とも存続しようと頑張ると“共倒れ”になる」と強調する。
こうした中、静岡市職員の労組は4月28日、清水病院の医師や看護師など職員731人を対象に実施したアンケートの結果を公表した。
回答数は640で、回答を複数回した人が一定数含まれている可能性があるとしているものの、清水病院に指定管理が導入された場合の対応について「退職したい」が41.4%に上り、「継続して働きたい」は12.0%に留まっている。
また、「悩んでいる」が44.1%だった。
「退職したい」と回答した人に複数回答可で理由を尋ねたところ、「給与が下がる可能性がある」が95.5%、次いで「手当てがなくなる可能性がある」が87.2%と、いずれも待遇面の悪化を懸念していることがわかる。
労組によれば、今回の指定管理者制度への移行について市から清水病院の職員に対して説明があったのは3月31日。
それも開催告知が直前で参加できなかった職員も多く、労組の担当者は「蔑ろにされている」と憤り、仮に継続して働くにしても賃金労働条件については「指定管理者が正式に決まるまで交渉相手がおらず、交渉のしようもない」と話す。
会見に同席した清水病院の職員は「現場の意見を聞く機会すら設けられなかった」と不満を漏らし、別の職員も「あまりに突然。行政から見放されたような思い」と語気を強めた。
労組の担当者は言う。
「市当局には、(清水病院の職員と)合意できるまで十分な誠意ある協議を尽くすことを約束してほしい」
