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田久保前市長の自宅に”ガサ” 「捜査に協力しないのであれば逮捕は現実味を帯びてくる」 菊地幸夫 弁護士が指摘 疑念を深めた”卒業証書”の提出拒否は「警察からすれば宣戦布告をされたということ」

伊東市・田久保眞紀 前市長

静岡県警は2月14日、学歴詐称問題が指摘されている伊東市・田久保眞紀 前市長の自宅へ家宅捜索に入った。「ただいま!テレビ」をはじめ、多数のメディアに出演する菊地幸夫 弁護士は、今回の強制捜査について「必然の流れだった」との認識を示した上で、田久保氏前市長が今後も捜査に協力しない場合、「逮捕ということは現実味を帯びてくる」と指摘する。

バレンタインデーの朝。

普段は閑静な伊東市の住宅街が突如として喧騒に包まれた。

静岡県警が田久保眞紀 前市長の自宅へ家宅捜索に入ったからだ。

田久保前市長をめぐっては、2025年5月の市長選に際して報道機関に虚偽の経歴を伝え掲載させた公職選挙法違反や偽造された卒業証書を関係者に開示した偽造私文書等行使など6つの容疑・8つの事件について警察が刑事告発を受理して、捜査を進めている。

1月には初めて田久保前市長本人に対する任意聴取が行われ、代理人の福島正洋 弁護士によれば、いずれの事件についても犯罪の成立を否認したという。

一連の事件でカギを握っているのは”卒業証書”なる資料。

田久保前市長は自身の学歴詐称を指摘する告発文が市議宛てに届いた際、卒業を証明する資料として市議会の議長や副議長に”卒業証書”を示している一方、東洋大学側は「卒業していない者に対して卒業証書を発行することはありません」との声明を発表しているからだ。

ただ、田久保前市長側は警察からの要請に対し、刑事訴訟法 第105条に規定された押収拒絶権を理由に“卒業証書”の提出を拒んだ。

福島弁護士は「証拠隠滅の意図はなく、事務所で保管しているので捜査段階では渡せないという認識」と述べている。

インタビューに応じる菊地幸夫 弁護士

今回、警察が強制捜査に踏み切った理由について、多数のメディアに出演する菊地幸夫 弁護士は「必然の流れ」と言い切る。

菊地弁護士によれば、田久保前市長側が“卒業証書”の任意提出を拒否したことで「捜査に協力しないという姿勢が明らかになったので、県警としては次に出すカードとしては、どうしても“強制”という捜査手法になってこざるを得ない」といい、「警察にとっては捜査に協力しないという姿勢は放っておけない。警察にもメンツはある」と慮った。

その上で、提出を拒む理由について「通常で考えれば自分にとっては不利になるから」と指摘する。

ただ、“卒業証書”が保管されている弁護士事務所への家宅捜索については「したくないというのが本音だと思う」と推察する。

その理由は押収拒絶権が法律に明記されている以上、仮に強行突破によって“卒業証書”を差し押さえたとしても「あとで裁判所から『その強行突破は問題がある』と指摘され、(差し押さえた)証拠が違法に取得されたものとして使えなくなってしまうリスクは県警としてもしたくない」と考えられるからだ。

他方、そもそも今回のようなケースで押収拒絶権の行使が成立するのか否かという議論もある。

押収拒絶権は刑事訴訟法 第105条に規定されていて、条文には「医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在った者は、業務上委託を受けたため、保管し、又は所持する物で他人の秘密に関するものについては、押収を拒むことができる」と記されている。

このため、菊地弁護士が着目しているのが“卒業証書”の秘密性だ。

法律の解釈としては「押収拒絶権というのは依頼者の秘密に関するものを預かったら、それは出さないことができる」ということになるが、田久保前市長は前述の通り関係者への開示をしているため、「秘密性が喪失しているのではないか」という見方もできるという。

また、刑訴法105条には「本人が承諾した場合、押収の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く)その他、裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない」という但し書きがあり、権利の濫用という観点から見ると「弁護士に預ければ一切、捜査機関が踏み込めないということになると、考えようによっては弁護士が証拠隠滅の片棒を担ぐというようなことを認めた条文になってしまわないかという批判もあり得る」と話す。

気になるのは今後の捜査の行方だ。

菊地弁護士は「捜査に協力しないということであれば逮捕ということは現実味を帯びてくる」との見解を示す。

例えば軽微な交通違反であっても、警察からの再三にわたる出頭要請を無視し続けると逮捕に至ることは珍しいケースではないため、「より重い、より責任がある犯罪で、出頭要請あるいは証拠提出要請を拒み続けていると、最終的に身柄を取るということがないとは言えない」としている。

2025年9月に不信任を議決された直後、捜査への協力姿勢について問われると「何か通知があれば、そのようにさせていただきたいと思う」と答えた田久保市長。

その後、11月には「捜査に慎重に対応するのは捜査機関への礼節」とまで強調していたが、実際には “卒業証書”の任意提出を拒むなど、これまでのところ真摯な態度とは言い難い部分が散見される。

このため、菊地弁護士も「田久保前市長のこれまでの対応は、自身に不利な方向、傷口をより広げる方向、事をより大きくしてしまう方向へと進んでいる。今回の捜査に協力しない、拒否ということで要するに全面戦争。警察からすれば宣戦布告をされたということ」と話し、自宅への家宅捜索が約7時間にも及んだことについて、「自宅に対して7時間というのは結構時間をかけてやっている部類。警察の意気込みが感じられる」と述べた。

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