厚生労働省が発表した主要企業の2025年末のボーナスは2年連続で過去最高額を更新するなど賃上げが進んでいます。こうした中、3年連続で給与の引き上げを実施するのが静岡県焼津市のスーパーです。その意外な背景とは?

2026年3月に入社する新卒社員の初任給について、33万円から37万円へと引き上げることを発表したユニクロを運営するファーストリテイリング。
これにより、新卒社員の初任給はわずか6年間で実に16万円も上がることになります。
さらに、不動産大手のオープンハウスグループが2027年4月に入社する営業職の初任給を40万円とするほか、日本生命も2026年4月から基本給を6%引き上げる方針を明らかにしています。
こうした賃上げの波は静岡県内の企業でも…。

焼津市に本社を置くスーパー田子重の新入社員・南條幹太さん。
精肉部に所属していて、毎朝7時頃から肉のスライスを担当しています。
田子重(新入社員)・南條幹太さん:
最初は大変だった。ただ、さすがに体がこの時間に起きることに慣れてきた
大学生の頃から田子重でアルバイトをする中、卒業後も社員として働くことを決意した理由の1つが給与面です。
田子重(新入社員)・南條幹太さん:
同じ職種・企業と比べた時に給与面で非常に魅力的に感じたことが1つの要因
田子重では2024年から新卒社員の初任給を毎年3万円ずつ引き上げていて、大卒の場合、この春には31万円となります。
田子重(新入社員)・南條幹太さん:
やはり物価高もあって生活も苦しい部分があるので、素直にベースが上がるのはうれしい

田子重・曽根礼助 社長:
本当に採用が困っていて、いろいろな手立てを講じても人が集まらないので、一斉に賃上げをすればある程度来てくれる人も増えるのではないかと決めた
背景にあるのは深刻な人手不足。
曽根社長によれば、2000年代の初頭までは採用活動に苦労した記憶はないものの、少子化に加えて365日営業かつ不規則な勤務体系が徐々に敬遠されるようになったと話します。
田子重・曽根礼助 社長:
いわゆるカスタマーハラスメントもあり、労働環境としては必ずしも良いとは言えない現状がある。そのためもともと志望も少ない

このため、田子重では同じく2年前から新卒以外の社員についても月々の給与を毎年3万円ずつ引き上げると共に、パート従業員の時給アップも実施。
社会保険料も含めると人件費は年々2.5億円増えていますが、中途採用の応募者数は10倍以上となり、2025年度の売り上げと利益はいずれも過去最高となる見通しです。
田子重・曽根礼助 社長:
社員は280人程度いるが、それぞれのポジションで自分たちにできることは何か考えてくれていると思う。それで利益が上がれば何らかの形で給料が上がるということをたぶん期待していると思う。離職を止めたいということもなくはないが、やはり田子重で働いて、5年・10年、何十年と働く人もいるかもしれないが、生活の何割かを仕事で費やすわけなので、「あの会社で働いて良かった」と言われる会社でありたい
賃上げにより、社員の意欲が高まり業績が伸びることで利益が還元されるという好循環を作り出せるかが、今後、賃上げを持続可能なものとできるのかのカギを握っています。
