鯛屋旅館(富士市吉原)
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【富士・鯛屋旅館】幕末の偉人も宿泊! 吉原宿にある340年続く旅館 江戸の旅人気分に

静岡・富士市の吉原商店街に、江戸時代から340年以上続く鯛屋旅館があります。山岡鉄舟や清水次郎長といった幕末の偉人も常宿にしていた歴史ある旅館です。現在はこだわりの手打ちそばを提供するそば店も併設しています。

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江戸時代から340年以上続く旅館

富士市にある吉原商店街は江戸時代、東海道の吉原宿があった場所です。現在も当時の面影を残すこの地に、「鯛屋旅館」はあります。

鯛屋旅館(富士市吉原)

趣のある玄関を抜けて、出迎えてくれた佐野憲作社長に旅館の歴史を聞きました。

鯛屋旅館・佐野憲作社長:
1682年、生類憐れみの令で有名な徳川綱吉の時代から営業しています

左)にむらあつとリポーター 右)鯛屋旅館・佐野憲作社長

徳川5代将軍・綱吉の時代から340年以上。

現在の建物は1965年に建て替えられたものですが、創業以来ずっとこの地で旅館を続けています。そして、佐野さんは鯛屋旅館の17代目当主です。

参勤交代の面影を今に伝える宿札

玄関では、歴史を感じさせる品々が目に入ります。

壁にかけられた木の板には、墨で何やら書かれていますが、年季が入り黒ずんでいて、はっきりとは読み取れません。これはなんの板なのでしょうか。

歴史を感じる品々

鯛屋旅館・佐野社長:
江戸時代の参勤交代の時に泊まった上級武士や大名が、予約のために自分たちの名前を書いて宿屋の前に置いた宿札です

松平甲斐守(まつだいらかいのかみ)など、大名の名前も見られます。

松平甲斐守の宿札

大名の「宿札」は、本陣が店を閉める際に譲り受けたもので、吉原宿の歴史を物語る史料です。

現代でいえば宿の入口に「◯◯様ご一行」と掲げる看板のようなものです。

吉原宿が栄えた理由とは

さらに壁には江戸幕府が“五海道”を把握するために、1800年頃に描かれた東海道の見取り図が掲げられています。

この絵図からも、当時の吉原宿の様子をうかがうことができます。

五海道・脇街道を描いた絵図

吉原宿も絵図に載っています。ちょうど東海道が吉原宿で90度曲がっているのが特徴です。

吉原宿には、東海道の旅人が多く宿泊しました。吉原宿が栄えた理由はいくつかあります。

吉原宿の西側には富士川があります。富士川は、日本三大急流の一つで橋が架けられず、雨が降って増水すると渡れなくなりました。そのため旅人はこの宿場町にとどまらざるを得なかったそうです。

ピンクの印が江戸時代の鯛屋旅館の位置

また、富士山信仰で富士山に登る人々や、富士川沿いに身延山の総本山へ向かう参詣者も多く、吉原宿を通っていったといいます。身延詣の定宿の看板も残っています。

あの幕末の偉人が泊まっていた

フロントの背後には、黒い木製の大きな看板が掲げられています。

「鯛屋與三郎(よさぶろう)」という文字が力強く刻まれたこの看板は、幕末の偉人・山岡鉄舟の筆によるものです。

「鯛屋與三郎」と書かれた看板

鯛屋旅館・佐野社長:
鯛屋與三郎というのは当時の主人の名前です。山岡鉄舟にお願いして書いてもらったということのようです

明治時代になると山岡鉄舟は静岡藩の権大参事(ごんのだいさんじ)、今でいう副知事を務めた静岡とゆかりの深い人物です。

鉄舟と親交があった清水次郎長も鯛屋旅館の常連だったそうです。

清水次郎長と山岡鉄舟

ありし日の吉原宿の姿

偉人たちも見た吉原宿は、一体どんな風景だったのでしょうか?

現在の吉原商店街を歩くと、かつての東海道の面影を感じることができます。

鯛屋旅館・佐野社長:
歩道のところまで建物が両側にあったんです。現在の車道部分が東海道の幅でした。本陣は静岡中央銀行がある辺りにありました

向かい奥に見える静岡中央銀行が本陣跡

歩道まで建物がせり出していたとすると、もう少し狭い印象だったかもしれません。

鯛屋旅館に飾られていた絵図と同様、いまでも東海道は90度南へ曲がっています。

富士市内にある富士山かぐや姫ミュージアムで展示されている吉原宿のジオラマでも、本陣と鯛屋旅館と思われる建物を確認することができます。

富士山かぐや姫ミュージアムの吉原宿のジオラマ

また、ありし日の鯛屋旅館を再現した展示も見ることができます。

かつての鯛屋旅館は、隣の現在そば店がある場所まで間口が広かったそうです。

かつての鯛屋旅館の再現

手打ちそばの新感覚メニュー

鯛屋旅館の隣にあるそば店「本手打 鯛屋」は名前からも分かるように、鯛屋旅館と関係があります。

鯛屋旅館が副業として営業しているそば店で、佐野社長の兄・佳之さんが毎日そばを手打ちしています。

鯛屋旅館の隣では副業でそば屋を営業

歴史ある旅館のそばはどんな味なのか、試食してみました。

意外にも冬のイチオシは温かい「スタミナつけ麺(1030円)」。定番そばではなく、ラーメンのつけ麺を思い起こさせる創作そばでした。

つけ汁には、肉・油揚げ・キクラゲ・タマネギ・刻みネギ・半熟卵・ゴマなどたくさんの具材が入っています。

スタミナつけ麺(1030円)

にむらリポーター:
おいしい! 濃厚で甘みのあるおつゆです

食べるラー油を加えると、いいアクセントになって味変も楽しむことができます。

食べるラー油で味変

鯛屋旅館・佐野社長:
私はそば好きなので、こういうのはそばの風味が消えてしまうのではないかと思うんですけど、兄がこだわって作っていて人気があります

麺つゆにあごだしやスパイスを加えた、老舗旅館の新感覚そば。歴史ある旅館で、ギャップがある現代的なそばでした。

これからの鯛屋旅館

鯛屋旅館の17代目・佐野さんは吉原商店街に昔の吉原宿のような活気が戻るよう、インバウンドの宿泊客も歓迎しています。

鯛屋旅館・佐野社長:
外国の方にも静岡に来て良かったと言ってもらえるように、日々お客様に接していきたいです

吉原商店街

鯛屋旅館は素泊まり(平日・1泊)で4200円~泊まることができます。

昔ながらの畳敷きの簡素な客室で、江戸の旅人気分に。HPからの直接予約がお得だそうです。

旅館の一室

340年以上の歴史を持つ鯛屋旅館は、幕末の偉人たちも見た景色を今に伝えています。歴史ある旅館で、こだわりの手打ちそばを味わいながら、江戸時代の旅人たちに思いをはせてみませんか。

■店名 鯛屋旅館
■住所 静岡県富士市吉原2丁目3番21号
■問合せ 0545-52-0012

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