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静岡市駿河区の住所録にのっている「港」という地名。それは用宗漁港周辺にあるはずなのですが、住民に聞き込みをしても「聞いたことがない」と口をそろえます。幻の住所の正体を調査しました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ地図には「港」の記載なし
スタッフが静岡市駿河区の住所録で発見した「港」という住所。聞いたこともないこの地名を調査すべく、まずは静岡市を代表する港・用宗漁港周辺での調査を開始しました。

現地にあった地図看板で、まずは「港」の記載がないか確認です。
テレビ静岡・室伏真璃アナウンサー:
静岡で港といったら清水港と用宗港ですが、「港」という記載はないですよね
用宗駅、用宗海水浴場といった表示はありますが、「港」という地名の記載は見当たりません。
用宗漁港周辺で聞き込み開始
用宗漁港の周辺を歩きながら、地元の人々にも声をかけていきます。

シラスの直売所「大漁丸」で話を聞くと、店の住所は「駿河区用宗1丁目」。港という住所はないのではないかと店の人は話します。
港の北西にある「ドリンクスタンド アリラ」でも、店主に話を聞きました。
アリラ・鈴木淳子さん:
用宗港は近くにあるんですが、「港」という住所の地名は私も聞いたことがないですね

会社から出てきた人にも声をかけてみます。
地元の会社に40年勤務の男性:
用宗と広野と石部はあるけど、港というのは聞いたことがない

古くから用宗でお店を営む方も、40年前からこの地で働く方も聞いたことがないとのこと。用宗、広野周辺の地名ではないのでしょうか。
静岡市役所で真相が明らかに
用宗の人たちも存在を知らないという幻の住所「港」。
地元の人に聞いてもわからないということで、最終手段として静岡市役所の戸籍管理や住所表示を担当する市民局を訪ねることにしました。

すると、驚きの事実が判明します。
静岡市役所 戸籍管理課・山崎尚人さん:
ご連絡をいただいて初めて確認して、「港」という地名はこういうくくりになっていたのだと私も驚きがありました

市役所の担当者も知らなかった「港」という地名は、実際に存在しているとのこと。
静岡市役所・山崎尚人さん:
用宗港のところですね。水面の部分とその付近にある土地の一部が属するところの地名になっています。人は住んでいません

駿河区港、その場所はなんと用宗港内と隣接するわずかな陸地。調査開始時に歩いていた橋の両側こそが駿河区港だったのです。
人が住んでいないので、きっと誰もその存在を知らなかったのでしょう。

地名「港」誕生の経緯に秘密が
ではなぜ港内と陸地の一部のみに住所が割り当てられたのでしょうか。
静岡市役所・山崎尚人さん:
港の町名ができあがったのが昭和48年11月1日です。当時、区画整理事業が用宗と広野で進んでおり、町の境を整理する際に合意に達するような境界が見当たらなかったため、結果的に「港」として分けることで落ち着いたという記録が残っています。

町名や町の境は、地元の意見を反映したうえで決定するため、当時もそのような経緯になったのではないかとのことでした。
地名を知れば歴史が見える。港という地名ができた理由は、地元の人たちの思いをくんだためでした。
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