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富士山の麓、静岡・小山町は“金太郎の生誕地”として知られています。金太郎は実際にいた人物なのか? 金太郎が生まれたという家の跡や、遊んでコイをつかまえたという池もあったのです。金太郎と小山町、深い関係を解き明かします。
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200体もの金太郎が迎える道の駅
数々の名産がある小山町ですが、中でも町一番の自慢が、全国的知名度を誇るキャラクター「金太郎」です。
町の名産品が集まる「道の駅ふじおやま」に向かうと、まず目に飛び込んでくるのが大きな金太郎がついた看板でした。

看板の他にも、金太郎のオブジェがどんと座っている富士山の湧水をくめる場所が。
富士山の湧水には「金太郎の水」と名前がついていました。

そしてクマにまたがり、まさかりを担いだ金太郎像も出迎えてくれます。
まさに金太郎づくしの道の駅です。

小山町は町を挙げて金太郎を推しているんです。
道の駅の店内に足を踏み入れると、さらなる金太郎ワールドが広がっていました。
にむらあつとリポーター:
垂れ幕に、当たり前のように金太郎がいます

お土産売り場の棚には、ずらりと金太郎グッズが並んでいます。
金太郎のどら焼き、金太郎のもなか、店内の至る所で金太郎が目に入ります。

さらに、レジ袋やトイレのピクトグラムにまで金太郎が描かれているんです。
お土産に使用されるのは想像できますが、レジ袋やトイレのピクトグラムにまでなるとは驚きです。

道の駅の駅長・櫻井剛さんは、「店内に金太郎が約200人いるという話を聞いたことある」と話します。
なぜこれほど金太郎を推しているのか、櫻井さんに聞いてみました。
道の駅ふじおやま 駅長・櫻井剛さん:
古くから金太郎伝説がありますが、金太郎は小山町で生まれて産湯につかったと言われているからです

伝説の人物だと思われている金太郎が、実は小山町出身だと言うんです。
実在を裏付ける教科書への記載
その事実を確かめるため、「道の駅ふじおやま」にある小山町観光協会の観光案内所を訪ねました。

ここに金太郎事情に詳しいベテランガイドがいました。
小山町観光協会・天野敬久さん:
金太郎伝説は全国各地にあるんですが、昭和初期の小学校の教科書に、小山町が金太郎の生誕の地であるということが記載されています

にむらリポーター:
教科書に載っているからこそ、間違いないということなんですね
天野さんは「金太郎誕生の地は小山町であります」と言い切ります。
実際にその証拠があるということで、金太郎ゆかりの地に連れて行ってもらうことになりました。
金太郎が住んでいた屋敷があった公園

到着したのは、小山町の東側にある「金時公園」です。
まず目に飛び込んできたのは、林の中にいる巨大な金太郎です。クマにまたがって乗馬の稽古をしている、歌にある有名なシーン。

広い敷地内には、金太郎が子供の頃に住んでいた屋敷があった場所が残されています。
小山町観光協会・天野敬久さん:
金太郎が小さい頃に住んでいた金時屋敷があった場所です

現在は「金時神社」となっているこの場所が、金太郎生誕の地と言われています。
この神社、地元では子供の守り神として親しまれているそうです。

金太郎こと「坂田金時」の生涯
小山町が作成した年表によると、金太郎は平安時代の956年に元気な産声をあげて誕生しました。
小山町観光協会・天野敬久さん:
金太郎は力強い子供だったので、源頼光が金太郎に家来になるように求めたんです。そして金太郎は京の都へ行きました

21歳の時に源頼光に力量を認められ、家来となった金太郎。
この時、名前を「坂田金時(きんとき)」と改めたそうです。
その後、京都で暴れまわっていた鬼の頭領「酒呑童子(しゅてんどうじ)」を討伐するなど大活躍。
金太郎の活躍は、時代とともに歌舞伎や浄瑠璃、さらに昔話のモチーフとなり、全国区の有名人へと出世していったのです。
こいのぼりの起源は金太郎! 伝説のスポット
金太郎が誕生した小山町を探索すると、数多くの金太郎ゆかりの伝説を見つけることができました。
ちょろり七滝
金時公園内にある「ちょろり七滝」。
水がちょろちょろと出ていることから、この名が付けられたそうです。

小山町観光協会・天野敬久さん:
金太郎が産まれた時に、母親が産湯として使ったと言われています
金太郎の産湯として使われていたという「ちょろり七滝」。
丈夫に育ち、武将として大出世した金太郎にあやかり、地域の人々もこぞってこの水を産湯に使ったといいます。

沼子の池
金時公園から少し離れた場所にある「沼子弁天公園」。
ここには、金太郎が水遊びをしたとされる場所が残っています。

「沼子の池」は、金太郎が水遊びをした池の跡地だと言われています。
この地で大きなコイを捕まえた金太郎の姿が、現代を生きる私たちの風習にも深く関係しているそうですが、なにかわかりますか。

金太郎が大きなコイを捕まえた姿の像がありました。
小山町観光協会・天野敬久さん:
これが、“こいのぼり”の原型になってると言われています
「コイに金太郎」は、立身出世と身体堅固の願いが込められた図柄です。

のちに大出世を果たす金太郎と天に昇るコイを描いたこの図柄は、縁起物として知られています。
これが全国各地に広がり、現在の“こどもの日”に飾られるこいのぼりの原型となったというのです。
金太郎伝説が、こいのぼりにまで関係があったとは、驚きです。

金時山
金太郎伝説は、地域に親しまれるこんな場所にも残っていました。
静岡と神奈川の県境にまたがる足柄山の最高峰を「金時山」というんです。
これはもちろん、金太郎の出世後の名前「坂田金時」からきています。
“子供の神様”として尊敬される
地域に深く根付いた金太郎。小山町の人たちは、そこに親しみと尊敬を感じているようです。
小山町観光協会 天野敬久さん:
気は優しくて力持ち、子供の神様みたいな存在だと思います
小山町では子供が生まれると、金太郎柄の枕や布団を贈る風習もあるそうです。

全国的に有名な金太郎のルーツが静岡県小山町にあったとは驚きです。こいのぼりの由来も金太郎だったとは、新たな発見でした。
小山町には他にもたくさんの金太郎スポットがあります。金太郎ゆかりの地を巡ってみてはいかがでしょうか。
■施設名 道の駅ふじおやま
■住所 静岡県小山町用沢72-2
■営業時間 7:00~20:00
■定休 なし
■問合せ 0550-76-5258(受付時間 7:00~20:00)
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