地元のシンボルをモチーフに、菓子店が協力して生み出した17種類のスイーツが注目され始めている。「ワンハンドお菓子ぃ革命」と称される取り組みの全貌とは。
伊豆半島に春の訪れを告げる大室山の山焼き。
この地で700年以上続く伝統行事だ。
静岡県伊東市では2024年12月にこの大室山をモチーフにしたスイーツが次々と誕生した。
実は伊東市は人口1000人あたりの菓子店の数が国内でもトップクラスを誇る“お菓子王国”。
このため、2011年には市内の菓子店が連携して“伊東お菓子ぃ共和国”が建国された。
それは2024年7月のことだった。
共和国の大統領がコーヒーを片手に「最近おもしろおかしい企画がないな～」と嘆くと、これを聞いた側近が奔走。
そして、共和国を構成する16店舗の協力によって17種類の“映えスイーツ”が完成した。
特徴は食べ歩きしやすい形状だ。
伊東お菓子ぃ共和国・小内正敬 大統領：
みんな意外に乗り気。私たち洋菓子店の弱い部分で、ほとんどのお店が（食べ歩きできるスイーツを）提供していなかった。みんなが創作意欲をかき立てられ、おもしろいスイーツがそろった
スイーツの食べ歩きで注目を浴びているのがお隣の熱海市だ。
8年前にプリンの専門店がオープンして以降、市内には様々な菓子店が進出し、若者の間で人気となっている。
観光客：
（Q.ご当地スイーツは必須ですか？）そうかもしれない。「これ食べないと」と思って来た
観光客：
静岡なので抹茶とかこれから食べたい
斎藤市長もスイーツの存在が観光面に好影響を及ぼしていると感じている。
熱海市・斎藤栄 市長：
多くのスイーツが見栄え、“インスタ映え”するというのがあり、スイーツ店ができるとその店の情報を若い観光客が発信するので、若い方に対する訴求力がますます高まっている
こうした中、熱海市に対抗心を燃やしている伊東市はJR東日本と連携して市内の名所を紹介すると共に大室山スイーツのPRに力を入れている。
伊東市 観光課・日吉直樹 主査：
お菓子の内容自体が上手にPRできていない中で、大室山をモチーフにしたスイーツを開発したので、これを機に全国的にも伊東市はお菓子がおいしい、菓子店がいっぱいあるというところもPRしていきたい
JR東日本 企画・後地竜之さん：
伊東の新しい名物ができて人が集まってくれれば良い。JRとしても電車で送客したいと言う目的があった。お菓子ぃ共和国自体も新しい目玉になる商品を作りたいと思っていた。JRの思惑とうまく合致したところがスタート
協力している菓子店も大室山スイーツが伊東市のにぎわいにつながればとの思いを抱いている。
フルーツパーラー伊豆旬実堂・松浦徹 店長：
大室山の特徴的なてっぺんのくぼみをしっかりとこう表現、形を作りたくてそこにこだわって作った。伊東の駅前にたくさんのお客さんに来てもらいたいし、地域の方も伊東駅前に大勢来ることを目指している。まずは伊東の玄関口の駅前にたくさんのお客さんに来てもらえると大変うれしい
伊東お菓子ぃ共和国・小内正敬 大統領
スイーツというのはみんなを笑顔にできるもの。どんどんと活動を広げていき、継続できればと思っている
新緑やススキといった四季折々の大室山を表現した17種類のスイーツが伊東市の観光に新たな風を吹かせることが出来るのか…
まずは春の観光シーズンの起爆剤となることが期待されている。
