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総務省の家計調査で、浜松市は2024年に1世帯当たりの餃子の購入額日本一を奪還した。浜松市は浜名湖周辺で養殖されるウナギも特産品で、市内の餃子専門店がこの2つを組み合わせた“ウナギ餃子” を開発。目指すはフードロスの削減だ。
ウナギのエキスを餃子の餡に
浜松市中央区西伊場にある餃子専門店、その名も「餃子の革命物語」。
看板商品は“ウナギ餃子”だ。
この“ウナギ餃子”を生み出したのが店主の近藤明美さん。
近藤さんによれば、ウナギの頭を煮て、溶けた状態のエキスを冷やして煮凝りにして餃子の餡の中に入れたのが”ウナギ餃子”だという。
捨てられる頭が「もったいない」
一般的にかば焼きや白焼きとして食べられることが多いウナギ。
しかし、頭や骨は捨てられてしまうことがほとんどで、近藤さんはここに着目した。
餃子の革命物語・近藤明美 店主:
ウナギの一番おいしい部分は頭。頭に一番旨味が詰まっている。この頭が捨てられている、これは“どえらいこと”だということで。(ウナギは)捨てるところがなく、栄養価が高くておいしいので、これは絶対使わない手はない。これが浜松餃子
根底にあるのは「もったいない」という思いだ。
ウナギの味がしない…厳しい意見も
ただ、当初は客から「ウナギの味がしない」といった厳しい意見が続出。
それでも諦めることなく試行錯誤を繰り返した。
餃子の革命物語・近藤明美 店主:
企業として専門的にそういうこと(フードロス削減)ができたら世の中のためになるのではないか。お客さんが喜んでくれて、業者が喜んでくれて、浜松市にも貢献できて、自分もうれしい。“四方良し”になるようにするためにはどうすればいいか考えたら、これしかなかった
ウナギ餃子を作り始めて6年。
売り上げはまだまだだが、いまでは年間6トンものフードロスに貢献しているという。
骨から取った出汁でおでん
また、近藤さんはウナギの骨の加工品も販売している。
この日は9月から取引を始めたばかりのホテルを訪れた。
ホテル ウェルシーズン浜名湖では地産地消にこだわっていて、近藤さんが加工したウナギの骨から取った出汁を使ったおでんを宿泊客に提供していて、鈴木康生 料理長は「浜松・浜名湖といえばウナギなので、地元性を生かした出汁にしたいな思って作っている」と話す。
近藤さんも実際に完成したおでんを見たり味わったりするのは初めてということで、喜びに満ちた表情をのぞかせた。
餃子で全国からフードロス削減へ
餃子の革命物語・近藤明美 店主:
うれしいし、感謝しかない。何が正しいのかどうすればいいのかわからない中で、「もったいない」を主体にやってきたことが、このような素晴らしい形になっているということに感動しかない
近藤さんが目指す未来、それは餃子を通して全国からフードロスをなくすことだ。
近藤さんは「他県の餃子を作っている人も、地域で無駄になっているものが必ずあるはずなので、それを使って意識して(餃子を)作ってもらうことができれば、結果的にみなさんが笑顔になるのでは」と期待を寄せる。
そのためにもまずはウナギ餃子の認知度を高め、地元の人から観光客まで多くの人に自らの取り組みを知ってもらうことが今の目標となっている。