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プロ野球の2軍リーグ拡大に伴う新球団「くふうハヤテ」は、参入初年度のシーズンを最下位で終えた。
ホーム平均866人はファーム8番目
プロ野球のウエスタン・リーグに今シーズン初めて参戦した「くふうハヤテベンチャーズ静岡」。
9月29日、本拠地の「ちゅ~るスタジアム清水」で行われた最終戦にはシーズンで2番目に多い2,355人が観戦に訪れた。
観客:
(Q.普段から観戦に?)いや初めて。どんな選手がいるのかもわからない
観客:
前から来たいと思っていたが、静岡県のチームでこういう(チームの)立ち上がりのところはどういう雰囲気なのか見られればと思った
1軍を持たず、ファームリーグだけに参加する新しい球団のため認知度もまだまだで、成績も今シーズンは120試合戦って28勝84敗8分け、ウエスタン・リーグ6チーム中で最下位に終わった。
勝率.250は同時期にイースタン・リーグに参入したオイシックス新潟の.342を下回り、ファーム14球団でも最下位だ。
観客数はホームゲーム63試合の1試合平均が866人。
こちらは14球団の平均1036人をやや下回り、球場の規模や立地条件は違うものの8番目の結果だ。
くふうハヤテ・池田省吾 球団社長は「当初1試合平均700人・年間で5万人集めたいと目標を掲げていた中では、最低限の目標をクリアできたと思っている。言い訳になってしまうが告知・認知活動は球団側の手が回らなかった」と話す。
ピクニック観戦で家族を狙え
プロ野球の2軍の運営費が最低でも年間5億円かかると言われる中、チームの立ち上げなどゼロからスタートした「くふうハヤテ」にとって、スポンサー企業の数も十分とは言えず、経営面で厳しい状況に置かれているのが現状だ。
このため球団にとって行政の支援は欠かせない。
静岡市はプロジェクトチームを設置して球団との連携を推進。
今シーズン最後の2試合についても、それぞれ3,000人の観客を呼び込む計画を進めた。
7月に開かれた会議では、球団スタッフが「周知の強化はもちろんだがイベントを打ってうまく周知すれば、まだまだ入場者数は増やせる」との認識を示し、プロジェクトメンバーからは「中高年男性は放っておいても来るので、少年と家族をターゲットにする。『プロ野球選手と触れ合える』をフックに少年と家族を呼ぶ視点がよい」などの意見が出された。
検討を重ねた結果、来場者への球団グッズのプレゼントやチアダンスチームによる応援、小さな子供連れでも公園で遊ぶ気分で野球観戦を楽しんでもらおうと初めて外野芝生席の開放を行った。
外野芝生席の観客は「外野席からの全体を見ながらの距離感が違う。(Q.ピクニック気分?)家族連れも多いのでのんびりと楽しめる」「なかなか寝転んで見られるスタジアムないから、いいですね」と好評だった。
「球場外で市民と触れ合いを」
家族連れをターゲットにした外野芝生席開放の評判は上々だったが、独立リーグの運営経験を持ち、静岡市のアドバイザーを務める坂口裕昭さんは「今後の集客アップのためには球場以外での市民との関わりが必要」と指摘する。
静岡市プロ野球球団連携推進アドバイザー
坂口裕昭さん:
ただの野球が好きな皆さんとか、「スポーツで街を」というところから、さらにもっとひとりひとりの社会生活の接点になるような場面に球団や選手がもっと積極的に出て行って人々の生活レベルのところにどれだけ食い込めるかにチャレンジしないと、なかなか集客や売り上げという意味では厳しい
くふうハヤテ・池田省吾 球団社長:
できることからやっているのが現状で、試合に来てもらったら土日祝日は(選手が)見送りを必ずしているし、意外だと言われたが、シーズン中でも選手派遣をたくさんしている。野球教室・地元のイベント・祭りなど、ビジターの時は居残りの選手がいるが、意外と知られていなくて「大丈夫なんですね?」と聞かれる。商店街のイベントや野球教室など積極的にやらせてもらっているので、そういうところで交流を図っていきたい
2024年度中には経済界を中心としたくふうハヤテの後援会組織が発足する見通しで、球団はファンクラブの設立も計画している。
静岡市も今後、照明のLED化や球場周辺の駐車場の整備など、できる限りの支援をしていく方針だ。
シーズン1年目の成績はウエスタン・リーグ最下位。来シーズンからは白星を重ね順位を上げることはもちろんだが、いかに地域に浸透していくかが求められる。