2025年の夏に入山規制を導入し、遭難件数が減った富士山ですが、2026年は一転 救助件数が激増しています。現地取材で見えてきたそのワケとは。
開山期間も残すところ、9月10日まであと約2週間。
この夏も多くの登山客が富士山を訪れてました。
こうしたなか遭難事故を防ぐため、2025年から導入されてきたのが入山規制です。
1人4000円の入山料に加え、ルールやマナーなどの事前学習も義務化されています。
さらに夜間の弾丸登山を防ぐため、山小屋の予約がない場合は午後2時~翌日の午前3時まで入山できません。
富士登山ナビゲーター:
弾丸登山も減っているし、事前登録で学習もしている。だから以前に比べてトラブルが本当に減っている。
入山規制は無謀な登山を防ぐための対策として、一定の効果を上げているといいます。
ところが…
福島流星 記者:
消防の救助隊員が山に入っていきます。これから救助活動に向かうものとみられます
静岡県側では2026年、救助要請が激増。
開山以降の遭難件数は、2025年の同じ時期(7月1日~8月24日)の2倍に上っています。
遭難というと厳しい登りで起きるイメージもありますが、2026年特に目立っているのが、下山中の事故です。
消防に寄せられた通報:
下山の途中、50代の母親が体調不良になった
消防に寄せられた通報:
下山の途中、同行者が疲れて転んで動けない
なぜ、下山で事故が相次ぐのか。
富士山頂に常駐し活動している写真家の植田めぐみさんは、2026年の登山者にある特徴を感じていました。
富士山頂写真家・植田めぐみさん:
シャリバテと言って、糖質不足になっている人も結構いる。登りでエネルギーを使い切ってしまい、下る時のエネルギーが残っていない
シャリバテのシャリとはご飯のことで、気づかないうちに体内の糖質が不足し、力が入らない・ふらつく・頭が働かなくなるといった症状が出ることを意味する登山用語です。
ではなぜ2026年シャリバテの登山者が目立つのでしょうか?
富士山頂写真家・植田めぐみさん:
想定するに、今年本当に天気が良くて先が見える。歩いている時に前へ進む登山道が見えると、もう少し進んでみようとか、まだいけるかなと思ってしまう
さらに入山規制によって減ったとはいえ、依然として遭難の要因となっているのが軽装登山です。
村田彬 記者:
登山道の入口の前でスタッフに止められています。服装について、指導を受けているようです
薄い雨合羽を羽織っただけなど、軽装登山の人は天気が悪い日にこそ、よく目にすると言います。
そして…
のちに熱帯低気圧となり千葉県などに甚大な被害をもたらした台風15号。
その接近が予想された8月11日も、富士山には多くの登山客の姿がありました。
なぜ危険が予想されていても登ってしまうのか。
取材を進めると、他にも課題が見えてきました。
富士登山ナビゲーター:
台風の日。台風の日にキャンセルきかないけれど、登ってしまいたい。きょうしか休みがとれないし、お金(入山料)も払ったし、山小屋もキャンセルできないから行く
1人4000円の入山料は事前の支払いですが、静岡県側の場合、現地で受付する前であればキャンセル可能で全額返金されます。
ただ、多くの山小屋ではそうはいきません。
「せっかくお金を払ったから」
「この日のために予定を空けたから」
そんな心理が悪天候でも登山を諦めにくくする一因になっているとみられています。
富士山頂写真家・植田めぐみさん:
体調に合わせて登山をやめると考えても、キャンセル料バックがないと考えると無理してでも上がってみようとか、そういうことになってしまう懸念はある
さまざまな要因が重なり、遭難が増えているとみられる2026年の富士山。
福島流星 記者:
いまブルドーザーが降りてきました。救急車も来ています。要救助者が2人乗っているということです
ただやはり富士山を甘く見ていることも要因の1つです。
体調不良で救助・ドイツ国籍の女性(33):
ひどい頭痛で全く動けなくなった。富士山に登るのは初めてで、山を甘く見ていました。そんなに簡単ではありませんでした
富士山頂写真家・植田めぐみさん:
日本一の高い山に登るというよりは、観光プラス登山がついているという感じで登ってしまう人がほとんど。富士山が簡単な山ではない。もっと知ってもらわなくては
勇気をもって登らない、もしくは引き返す。
日本一高い山だからこそ富士山を甘く見ないことが必要です。
入山料は事前支払い制ですが、キャンセル返金で対応が分かれています。静岡県は登山当日、現地受付の前まで返金対応可能です。一方で山梨県は支払いの日の翌日までとなっています。
外国人だけでなく日本人からも「分かりにくい」と声が上がっており今後見直しなどが必要と言えます。
