終戦から81年が経ち、戦争体験者は少なくなっています。こうしたなか、3000人が命を落とした浜松大空襲の記憶を絵本にした取り組みが話題を呼んでいます。
【絵本「わすれないで」より】
むかし、はままつのまちにも ばくだんをもっている ひこうきがやってきました
ブーンと音を立てて 向こうからつぎつぎと ばくだんをおとしていきました
「わすれないで」というタイトルから始まる一冊の絵本が伝えるのは、今から81年前、静岡県浜松市で起きた悲劇です。
平出あす香さん:
これは幼少期のころの私と兄の思い出を描いている
この絵本を描いたのは、浜松市に住む平出あす香さん。
2025年、中学3年生の時につくりました。
現在高校生となり、美術やデザインを学ぶ平出さん。
絵を描くきっかけとなったのは、学校の授業の一環で語り部の男性から聞いた浜松大空襲の話でした。
1945年6月18日に起きた浜松大空襲。
陸軍の航空基地や軍需物資を製造する拠点があったことなどから米軍に標的とされ、焼夷弾の攻撃で市街地は壊滅状態となりました。
住宅 約3万戸が破壊され、死者は約3000人にのぼりました。
平出あす香さん:
正直いうと浜松大空襲の被害は少ないと思っていたので、こんなにひどい被害があったんだと驚いた
自分の受けた衝撃を得意な絵を通して伝えたいと、4カ月かけて完成させました。
戦火から逃げ惑う人々やケガを負った人などが臨場感をもって描かれています。
平出あす香さん:
もっと戦争について調べて、今度は自分よりも年代の低い子たちにも戦争について知ってもらうために何か自分にできることはないかなと、前の自分よりはすごく考えるようになった
この日、平出さんが参加したのは浜松市の戦争の歴史について話す“語り部の会”です。
平出さんと話すのは平野善巳さん。
2025年、平出さんに絵本を描くきっかけを与えた語り部です。
語り部の会浜松・平野善巳さん:
若い人たちがこれからの世論を起こしてもらいたいから、平出さんのような若い人たちが出てくることに期待しているし、我々はそれに対して正確な歴史と知識を伝えていきたい
この日は平出さんによる絵本の読み聞かせも行われました。
2025年は話を聞く側だった平出さんも、絵本を通して伝える側に・・・一言一言、思いを込めて読みました。
【絵本「わすれないで」より】
せんそうはゲームではなく ほんとうにおきたできごと
いまでもせかいのどこかで せんそうをしている くにがある
しあわせなまいにちが ほんとうはとくべつなんだ
自分の受けた気持ちを次の世代へ。
平出さんはこの絵本をきっかけに、浜松の戦争の歴史を「忘れないでほしい」と話します。
平出あす香さん:
こういう出来事があったと絶対忘れてはいけないし、忘れてはいけない悲惨な出来事を自分よりも若い人たちに、さらにさらにバトンを渡していって語り継いでいけたらいいなと
絵本は浜松復興記念館に複製されたものが寄贈される予定でしたが、好評を呼び、500冊の制作が決まりました。
地域の戦争の記憶は、静かに確実に受け継がれています。
