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【袴田事件】「相当程度推認される」を繰り返し…検察側が再び死刑求刑 証拠ねつ造は強く否定<論告概要>

静岡地方裁判所

1966年に静岡県清水市(現在の静岡市清水区)で味噌製造会社の専務一家4人が殺害された、いわゆる“袴田事件”の再審公判で、検察側は5月22日、袴田巖さんに対して再び死刑を求刑しました。

58年前に当時の清水市で起きた強盗殺人・放火事件をめぐっては、1980年に袴田巖さんの死刑判決が確定した一方、東京高裁が2023年3月に裁判のやり直しを認める決定を出しています。

再審公判は2023年10月に始まり、15回目を迎えた5月22日の再審公判では、検察側が再び袴田さんに対して死刑を求刑しました。

論告の中で、検察側はまず犯行着衣とされた“5点の衣類”を除いても「被告人(袴田さん)が犯人であることを示す証拠が多数あり、被告人の犯人性は相当程度推認される」と主張。

「犯人は味噌工場関係者であり、事件当夜、味噌工場に出入りしたことが強く推認される」「犯人は事件当夜、味噌工場から雨合羽や混合油を持ち出すなどして味噌工場に出入りしたことが強く推認される」との前提から、「被告人は事件当夜、味噌工場の従業員寮に居住し、十畳間に一人で居たもので、このような犯人の行動を取ることが可能だった」との見解を示しました。

また、袴田さんが事件後に複数箇所負傷していたことや袴田さんのパジャマから本人以外の血液型の血痕や混合油が検出されたことを理由に、「特に被告人には犯人であることと整合する複数の事情が認められ、これらの証拠関係を見ただけでも被告人が犯人であることは相当程度推認される」と述べています。

さらに、“5点の衣類”についても、「血痕の付着状況や血液型に鑑みても、犯行時に付着した被害者及び犯人の血液であると考えて自然」との理由から、「犯行着衣である」と断言。事件前に袴田さんが着用していた衣類と酷似していたことなどを挙げ、「複数の証拠から“5点の衣類”が被告人のものであることも認められる。被告人が“5点の衣類”を犯行時に着用し、犯行後に1号タンク(衣類が発見された味噌タンク)に隠匿したことが推認され、発見経緯にも何ら不自然な点はない」と話しました。

一方で、弁護側が「“5点の衣類”は捜査機関によりねつ造されたもの」と訴えていることに対しては「何ら合理的な根拠もなく主張しているに過ぎず、非現実的で実行不可能な空論」と斬り捨て、「ねつ造したと言うのであれば、(味噌会社の)内部告発などによってねつ造行為自体が発覚する危険をも冒して敢行することになるが、およそ想像しがたい」などとして強く否定。

そして、再審開始を認めた裁判所の決定に対しても「科学的・専門的分野にわたる事項について証拠評価を誤ったために下されたものと言わざるを得ない」と非難しました。

その上で、「犯行は強固な殺意に基づいた極めて冷酷で残忍なものというほかない。遺体は見るも無残な状態で発見されていて、反抗の冷酷さ・残忍さを如実に表わしている。生命軽視の態度は極めて顕著であり、強い非難に値する。被告人は33年あまり死刑囚として身柄を拘束され、心神喪失の状態にあると認定されているが、4人が無残に殺害されるなどした事件であり、被告人の身体拘束等の事情は量刑事情を何ら変更されるものではなく、罪責は誠に重大」として、死刑を求刑しています。

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