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「負けるのはわかっていてもついつい…」ギャンブル依存症と向き合う男性が語る”恐ろしさ” 静岡

静岡ダルクと精神科医・木村さん

大谷選手の通訳を務めていた水原一平 氏をめぐるトラブルについては、日本のみならず世界中に大きな衝撃をもたらしました。日本時間の26日には大谷選手が自ら会見したものの、未だに釈然としない点も残っているように感じます。

今後の展開も気になりますが、まずはトラブルの発端とも言えるギャンブル依存症とはどういったものか?精神科医の木村先生に色々聞いてみました。

大谷選手が会見「彼がみんなにウソをついていた」

大谷選手と元通訳・水原一平 氏のイラスト

大谷翔平選手の元通訳・水原一平 氏が違法賭博に関与した疑惑について、日本時間の26日朝、大谷選手が会見を行いました。

大谷翔平 選手:
信頼していた方の過ちというのが悲しくショック。そういう風に感じています。僕はもちろんスポーツ賭博に関与していないし、ブックメーカーに送金していた事実は全くありません。彼が僕の口座からお金を盗んで、みんなに嘘をついていた

大谷選手による今回の説明は、事前に用意した資料に沿って時系列を追いながら説明を行い「これが話せることのすべてだ」として記者の質問は受け付けずに行われました。

大谷選手はカメラの前で険しい表情をしていることが多く、嘘をつかれていたことなどを説明し、つらい胸の内もうかがえます。

自身の口からもこの件について警察の捜査に協力していくことを明かし「気持ちを切り替えるのは難しいけど、シーズンに向けてスタートしていきたい」と語りました。

水原一平氏の問題について

この問題をめぐり水原一平 氏は3月20日にドジャースを解雇されました。

アメリカのスポーツ専門チャンネル・ESPNによると違法賭博で借金がかさみ、大谷選手の口座から送金させた疑いがもたれています。

20日にソウルで開催されたメジャーリーグ開幕戦の日の試合後、水原氏は「ギャンブル依存症」を告白し、借金は450万ドル、日本円で6億8000万円にものぼるようです。

大谷選手は26日、「彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつみんなにうそをついていた。僕はもちろんスポーツ賭博に関与していないですし、送金をしていた事実は全くありません。」などと約12分にわたり説明をしました。

木村さんと西原さん

-連日取り上げられているこのニュースを聞いてゲストのお2人はどう感じた?

精神科医・木村好珠さん:
大谷選手は水原さんのことを誰よりも信頼していたと思いますので、その人に嘘をつかれ裏切られたという精神的ショックは本当に深刻で心配です。誰を信じて良いのか分からなくなってしまう状態で、心のバランスを保っていくのはかなり難しいと思います

総務省地域力創造アドバイザー(元牧之原市長)
西原茂樹さん:
結婚して幸せの絶頂からこんなことが起きて、まさに一寸先は闇という感じだね。根っからの野球少年だから出来るだけ早く問題が解決して活躍して欲しい

水原氏が自身について「ギャンブル依存症」と話したということですが、どんな状態になってしまうのか施設でリハビリを受けている38歳の男性に話をきくことができました。

「死ぬしかない」ギャンブル依存症の恐ろしさ

ギャンブル依存症の男性

ギャンブル依存症の男性:
借金がどんどんかさんで自分の収入では返しきれなくなったので、精神的に追い詰められて、最後は死ぬしかないところまで追い詰められました。ギャンブルを止めて仕事をして、その給料で借金を返そうと思うが、お金を持ったらギャンブルをしてしまう状態だった

ギャンブル依存症の男性と竹下記者

こう話すのは、依存症のリハビリ施設に入所する38歳の男性です。

学生時代からギャンブルを始め、気が付いたときには借金が数百万円まで膨れ上がっていました。

ギャンブル依存症の男性

ギャンブル依存症の男性:
周囲の人間関係もうまくいかず、居場所がないので、ギャンブルする場所が唯一落ち着ける場所だった、それもあって負けるのはわかっていてもついついギャンブルをしてしまう状況でした

依存症のリハビリ施設「静岡ダルク」

8年前、依存症を克服しようと施設に入所。同じ境遇の仲間とともに治療を行い、6年間はギャンブルを断つことに成功します。

しかし、コロナ禍で外出できないストレスからネットショッピングにはまり借金が拡大。隠れて宝くじを買うようになりました。

ギャンブル依存症の男性

ギャンブル依存症の男性:
そのくらいなら大丈夫だろうと。ところがそれだけじゃ満足がいかず、ネットで競輪が始まったり、隠れてスロットをするようになりました。(借金返済を)楽な方法でというのが頭をよぎってギャンブルに手を出してしまった

再び治療を始めた男性。依存症から回復し、借金を返済できるようにと今も施設で自分と向き合っています。

たった1回で逆戻り…依存症はゴールが見えない

ギャンブル依存症について

改めてギャンブル依存症とはどのようなものかについてみてみましょう。

ギャンブルにのめりこんコントロールできなくなる精神疾患です。取材した静岡ダルクは、薬物やギャンブルなどに依存した人たちのリハビリ施設で、同じ境遇の仲間とともに依存症からの回復を目指しています。

取材を受けてくれた38歳の男性は8年前に入所し、6年間ギャンブルを断つことができたものの、2023年11月にまた手を出してしまい今現在もリハビリをしているそうです。

依存症の症状を説明する木村さん

-専門医の立場から木村さんいろいろ教えてください。

精神科医・木村好珠さん:
克服したように思えたのにたった1回やってしまったために元に戻ってしまうのが依存症です。ギャンブル、アルコール、薬物…何にせよ、たった1回がトリガーになってしまう。1日1日の積み重ねでなかなかゴールが見えないものです。

-ギャンブル依存症の症状は?

精神科医・木村好珠さん:
簡単にまとめると次のよう症状が挙げられます。
・常にギャンブルのことを考えている
・ギャンブルしないとイライラ落ち着かない
・ギャンブルに行くためにウソをつく
・大切な人・仕事に迷惑をかけてもやめられない

こういった症状があれば依存症です

依存症になりやすい人について

-どんな人がなりやすいのか?

精神科医・木村好珠さん:
誰でもなってしまう可能性はありますが、なりやすい人の特徴としては「衝動性が高い」「周りにやっている人が多い」「お酒などに頼りがち」「若いころからギャンブルに接している」などが挙げられます

他人からはわかりにくいギャンブル依存症

依存症の人の人数について(2016年厚労省)

それではギャンブルも含め依存症の人というのは一体どのくらいいるのかについてみてみましょう。

厚生労働省の21016年度のデータによれば、アルコール依存症の患者数は外来9万5579人、入院2万5606人、薬物は外来6458人、入院1431人、ギャンブル等は外来2929人、入院261人となっています。

精神科医・木村好珠さん:
ギャンブル依存症が少なく見えますが、これはアルコールや薬物は他人から見ても様子がおかしいと分かるので治療に行くことになりますが、ギャンブルの場合は他人から見てわかりにくいため隠れ依存症は多いと思います

カジノ誘致をめぐる動きについて

またギャンブルと聞いて連想されるものの1つにカジノがあります。

カジノをめぐっては、静岡県内でも観光客の増加や経済の活性化が期待できるとして誘致する動きが何度もありました。

2004年には熱海でカジノサミットが開催され、2008年にはカジノ誘致に向けた議員連盟が発足しました。

こうした中、カジノを含む統合型リゾート・IR整備推進法が2016年可決され、2019年には牧之原市がIRの誘致活動をしましたが、その後、断念しています。

日本初のカジノは2030年に大阪で開業が予定されています。

カジノについては犯罪の増加やギャンブル依存症などへの懸念が大きいため、誘致に向けた動きがあるごとに議論となっています。

熱海カジノサミット(2004年)

総務省地域力創造アドバイザー(元牧之原市長)
西原茂樹さん:
日本ではカジノは非合法ですが、先進諸国でカジノが合法でないのは日本、イスラエル、ノルウェーなどごくわずかです。非合法であるがゆえに反社会的組織が仕切る闇カジノなどの問題があります。合法化して依存症の問題なども国としてきちんと対応することも考えられるのでは。IRというのは統合型のリゾートなので、カジノだけでなく宿泊施設やショッピングモールなどが整備されて地域の発展に寄与する部分が多く重要なことだと思います

ギャンブル依存症の治療について説明する木村さん

-改めて万一、依存症になったらどう治療すれば良い?

精神科医・木村好珠さん:
とにかく「やらない」という意志を持つことです。そのためには依存症の自分を受け入れることです。これが治療の第一歩。自分が依存症か不安なら一度メンタルクリニックに行って診断してもらうのが良いと思います。それで依存症と診断されたらそのことを受け入れて、止めるという意志をもって治療にあたることです。薬でどうにかなるものではないので。また、静岡ダルクもそうですが、同じ症状で苦しんだ人の体験談などを聞いて具体的ヒントを得たり、勇気をもらったりするのも大切かと

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