ニュース

首都圏から電車1本で来て芸者遊びや寿司職人体験を楽しんで! 冬に閑散の観光地は外国人を狙う 静岡

合同会社「コアキナイラボ」の森田陸さん

夏はきれいなビーチで賑わうものの冬は閑散としている静岡県下田市。空き家・空き店舗も多くある下田市に外国人を呼び込もうと活動している男性は、台湾の“ノマドワーカー”と共同出資して民宿だった建物を購入した。元民宿を利用して行われた、外国人が好む日本文化の体験プログラムとは…。

隣の町まで観光客は来るのに…

早咲きの桜で知られる河津桜。静岡県河津町では2月中旬に見頃を迎え、2月1日~29日に開催した「河津桜まつり」では外国人をはじめ大勢の観光客でにぎわった。河津桜まつりの出店者に話を聞くと、2024年は外国人の観光客が多く、インバウンド効果があったようだ。

2024年の河津桜まつり(静岡県河津町)

日本政府観光局によると、日本を訪れる外国人は2023年12月には273万人を超え、12月として過去最多となった。2月も河津町は観光客で賑わったが、隣の下田市は人通りがまばらだった。美しい海を持つ下田市は夏は大勢の観光客で賑わうものの、冬は観光客が少ない。

東京駅から伊豆急下田駅まで特急踊り子号は運行していて、下田には首都圏から電車1本、乗り換えなしで来ることができる。例えば東京駅 午前8時発の電車は午前10時42分には伊豆急下田駅に到着する。交通の便は悪くはない。

外国人観光客を呼び込みたい

森田陸さん

河津町を訪れる大勢の外国人観光客を下田市に呼び込もうと活動しているのが、合同会社「コアキナイラボ」の森田陸さん(44)だ。下田市の活性化を目指して合同会社を設立し、空き家対策や外国人観光客を呼び込む事業を行っている。

実は森田さんは下田市在住ではない。静岡市に住み、静岡鉄道に勤務する。母親が下田出身で、「幼い頃に親しんだ下田の街を外から見た視点で元気にしたい」と、合同会社を設立した。

空き店舗を活用した店

森田さんは下田市の空き家や空き店舗を購入して改修し、地元の人に貸し出して賑わい創出のための事業に活用している。こうした物件を利用して、外国人観光客を呼び込もうと考えている。

合同会社「コアキナイラボ」・森田陸さん:
幼い頃から下田によく通っていた。静岡鉄道に入社してインバウンドの仕事をやっている時に、外国人から「伊豆っていいよね」と聞いてから、下田とのつながりが深くなった。世界的に見ても市内に9つのビーチがあったり、首都圏から1本で電車で来られる便利さなど、魅力的な部分を意外と(下田の人たちは)自分たちで気づいていない

着物を着て名所を散策

2月5日、森田さんは日本文化を体験するプログラムを企画した。台湾から訪れたのは、場所や時間にとらわれず仕事をする、いわゆる「ノマドワーカー」。彼らのSNSでの発信力にも期待している。

着物着付け体験で髪を整える

最初に行ったのは着物の着付け体験。台湾からの参加者は髪を整え、好きな着物を着て古い建物が残る街並み「ペリーロード」で写真撮影を楽しんだ。

好きな着物で写真撮影

台湾からの参加者は「着物を着るのは初めて。(帯をしめるのを)苦しくないか確認しながらやってもらい、とてもおもしろかった」「すごくていねいに着物を着せてもらいうれしいです」と喜んだ。

台湾からの共同出資で活性化

伝統芸能「下田芸者」

次に訪れたのは、森田さんが仲間と購入して改修した民宿だった建物。ここで参加者が体験したのは、下田市に江戸時代から伝わる伝統芸能「下田芸者」だ。華やかな芸者の舞いと楽しいお座敷遊びを満喫した。

台湾からの参加者と芸者

台湾からの参加者は「ひとりで来る時は体験できないコンテンツで、すごく良いと思います」と喜んでいた。

体験プログラムを進める中で、森田さんたち受け入れ側の課題も見えてきた。三味線を弾き始めると 途中で通訳するのが難しいことがわかり、最初に中国語に翻訳したものを配るように変更する。

下田芸者「桝屋」の奈美さん

下田芸者「桝屋」の奈美さんは「下田は芸者をはじめ歴史的なもの・食べる物など“オンリーワン”が多いので、その素晴らしさを国内だけでなく、世界に発信していけたら」と願いを込める。

台湾のノマドワーカーと共同出資の元民宿

お座敷遊びの会場となった元民宿の建物は、森田さんが台湾のノマドワーカーと共同出資して購入している。外国人にとっての拠点をつくることで、外国人観光客をより多く呼び込めると考えている。元民宿は台湾の人たちの会社が所有していて、本人が下田に来た時や友達や取引先を招いた時に利用しているそうだ。

地元の人が気づかない“街の魅力”を発信

体験プログラムでは寿司職人体験も

日本文化の体験プログラムの最後は、寿司職人体験だ。シャリを握る難しさに悪戦苦闘しながら、握り寿司を完成させていく。参加者は、自分で握った寿司を食べて「やはり職人さんが作った方がおいしい」と笑う。

日本文化を体験した台湾の参加者

体験を終えた台湾の人たちは「下田はリラックスできて日本の文化をよく体験できる街」「今までの旅行と違うローカル体験ができて印象的」と話し、充実した一日を過ごしたようだ。

森田陸さん

合同会社「コアキナイラボ」・森田陸さん:
今回の取り組みを通して下田の方々、事業者の方々の協力をいただいていますので、我々は外から見た下田の良さというものを発信して、その受け入れ側として地元の方々を巻き込んでいければと思います

外国人だからこそ感じる下田市の魅力をどう見つけ、どう伝えていくか。

観光地同士の競争が激しくなる中で、知恵を絞って工夫していくことが求められている。

静岡のニュースを発信!静岡で何が起きているのか。これからどうなるのか?丁寧に詳しくお伝えします
  • BLOG
  • Instagram
  • LINE
  • YouTube