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格安弁当に地酒 このために行ってもいい!山奥スーパー【天竜区・スーパーやまみち 】~遠州最北の地で2~

最寄りのコンビニまでは1時間、それも険しい山道を越えて。そんな地で住民の生活を守るスーパーをのぞいてみると、利益度外視の格安弁当や地酒など、住民でなくとも立ち寄りたい店でした。

コンビニまで1時間

浜松市天竜区水窪町

浜松駅から車で約1時間40分の浜松市天竜区水窪(みさくぼ)町。遠州の最北に位置する小さな町での生活は、都市部と大きく異なります。

最寄りのコンビニまでは1時間、それも険しい山道を越えていく必要があります。水窪から他地域へ買い物へ出向くことは簡単ではありません。

浜松市を南北に貫く国道152号沿いにある「スーパーやまみち」

そんな水窪で住民の生活を守っているのが「スーパーやまみち」。山道孝司さん(58)、眞紀子さん(58)夫婦が営むこのスーパーは、利益度外視の格安弁当や地域の作物を使ったお酒などが魅力です。

財布に優しいお買い得弁当

カツ丼はなかでもイチオシ

スーパーやまみちのカツ丼は381円。物流が決して良いとは言えない水窪で、この値段は破格です。カツ丼に限らず、弁当はどれもリーズナブルです。

スーパーやまみち・山道眞紀子さん:
弁当1個で利益はほとんど出ません。薄利多売です。弁当を目玉商品に、他の商品を手に取ってもらうことでお店を回しています

安いだけではありません。道路工事の関係者など、力仕事に携わる人が昼食を買いに訪れるため、ボリュームにはこだわっています。

安くて種類豊富な総菜コーナー

水窪ならではの食や地酒

スーパーやまみちの更なる魅力は、水窪のものを使ったお酒です。水窪でお酒を販売している場所は極めて少なく、日常的に酒類を購入できる店はここだけです。

孝司さんはかつて酒造メーカーに勤務していたこともあり、品ぞろえが豊富です。

水窪のこうじで作った酒

水窪産のこうじ菌で作られた「清流の酒 みさくぼ」

なかでも「清流の酒 みさくぼ」は、水窪由来のこうじ菌を使用した一品です。2021年に、フランスで開催された日本酒コンクール「Kura Master」で純米酒部門プラチナ賞を受賞し、“Misakubo”の名前を世界に広げました。

スーパーやまみち・山道孝司さん:
日本酒のできは毎年違います。2021年はやや酸味のある仕上がりになり、ワインが多く飲まれる西欧で高い評価を得られたと思います

在来ジャガイモの焼酎

水窪じゃがたを使った焼酎「みさくぼの恵」

もうひとつおすすめは、水窪在来のジャガイモ“水窪じゃがた”を使った焼酎「みさくぼの恵」です。

水窪じゃがたは、通常のジャガイモより身が小さく締まっており、ギュッと凝縮された風味が特徴です。「みさくぼの恵」にもその特徴が現れており、ジャガイモの味わいや香りをしっかり感じることができます。

水窪じゃがたのコロッケ

水窪じゃがたは「みさくぼの恵」のほか、総菜コーナーのコロッケなどにも利用されており、スーパーやまみちで買い物をするだけで水窪らしさを感じることができます。

水窪じゃがたのコロッケは冷凍でも販売

地域に根付くスーパーとして

お店のこだわりは更に細かいところにまで及んでいます。

歩くのが難しい高齢者向けに町内各地へ乗合タクシーで送迎し、地域に根付くお店づくりを続けています。

毎週月曜には新製品が並ぶ

週末の特売を欠かさず、新商品の入荷にも力を入れています。時には都市部で話題になる前に商品がならぶこともあるそうです。

駐車場には昔懐かしの瓶ジュースの自動販売機があります。新緑の山々に囲まれながら飲むコーラは格別です。

瓶ジュースの自販機

住民にも親しまれており、自販機の横にはたくさんの空き瓶が並んでいます。水窪の商店街を巡ったあとの一息にぴったりです。

やまみちの前で一息 のんびりした時間が流れる

ボリューミーな弁当や、地域の食材を使ったお酒、懐かしの瓶ジュース。スーパーやまみちは、水窪の雰囲気を存分に感じられる店です。

ドライブやツーリングの途中にフラッと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

■店名 スーパーやまみち
■住所 浜松市天竜区水窪町奥領家3366-2
■電話番号 053-987-0046
■営業時間 月~土 8:00~18:00
      日 9:00~18:00
■定休日 不定休

【シリーズで読む】「山で‟鮮魚”を売る」スーパーまきうちの挑戦 ~遠州最北の地で1~

1999年千葉県佐倉市生まれ。愛知県尾張旭市で育つ。2021年6月より浜松市天竜区水窪町へ移住し、写真撮影や執筆活動を通じて地域の魅力を発信する。
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