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球春到来!くふうハヤテベンチャーズ静岡 ユニフォーム製造会社社長に聞く!誕生の舞台裏

「くふうハヤテベンチャーズ静岡」のホーム用ユニフォーム

66年ぶりとなるプロ野球新球団「くふうハヤテベンチャーズ静岡」。キャンプインした選手たちが袖を通しているのは伝統的なデザインのユニフォームだ。その誕生には“ものづくりのまち”浜松の果敢なチャレンジ精神があった。

突然の製作依頼に…

練習に励むくふうハヤテの選手たち

「『せっかくのチャンスですから引き受けましょう!』というスタッフの熱意に押されてハヤテさんからの依頼を引き受けました」

こう話すのは浜松市中央区の野球ユニフォーム製造会社「レワード」の伊藤寿弘 社長(68)だ。

依頼主はプロ野球2軍リーグの公式戦に2024年シーズンから参戦する「くふうハヤテベンチャーズ静岡」の運営会社「ハヤテ223」の杉原行洋 代表。

伊藤社長によると、くふうハヤテのプロ野球2軍リーグへの参加が内定した直後の2023年10月下旬に杉原代表らチーム関係者が来社し、「まだ選手・コーチもいないゼロからのスタートだが、ぜひユニフォームの製作をお願いしたい」と切り出した。

納品期限はチームのキャンプが始まる2024年1月下旬。リーグ参加の正式決定はまだ1カ月も先な上、選手もいなければデザイン案もない状態で、残された時間は事実上1カ月半という短いものだった。

伊藤社長は「うれしい話だが間に合わないだろう」というのが当時の正直な気持ちだったと振り返る。

原点は“やらまいかの心意気”

レワード外観(浜松市中央区)

遠州灘海岸に近い浜松市中央区に本社と工場を構える「レワード」は、1973年に繊維問屋として創業し、当時は会社のスポーツ部門で地元の学校の体育着などを製造していたものの、1988年からは野球のユニフォームを中心に製造するようになった。

従業員は本社と関連会社を合わせて123名。少年野球から社会人野球まで多くのチームのユニフォームを手掛け、今では売上げの90%が野球ユニフォームの製造だという。全国の高校野球チーム約3800校のうち、甲子園出場の常連校も含む3割近い約1000校のユニフォームを製造している。しかし、プロ野球チームのユニフォームを手掛けるのは初めてだった。

伊藤社長によると、例えば社会人野球のチームからユニフォームの製造を新規で引き受けた場合、選手の採寸なども含め最低でも3カ月は要する。いったん引き受ければ失敗はできないため、杉原代表には「1週間時間をほしい」と回答。

ただ、関係するスタッフ20人ほどに相談したところ、1人の反対もなかった。浜松地方の方言で「あれこれ考え悩むより、とにかくやってみよう!」という意味を表す「やらまいか」の心意気を感じたという。

デザインへのこだわり

武将が好んだといわれる”勝色”

「くふうハヤテ」のユニフォームの製造は、多田敦志 企画マネージャー(36)を中心に進められた。

デザイン案が決定したのは2023年12月初旬。ハヤテ側からは「シンプル」「ピンストライプ」「ロゴは勝色(かついろ)」という要望があったという。「勝色」は紺色よりもさらに濃い青色で、武将が好んだ色とされる。

特徴的な帽子のデザイン

そして、さらなるこだわりが帽子のマークだ。通常は帽子の正面に高さ5センチほどのマークを付けるとのことだが、ハヤテ側の希望は過去に例がない左下の位置に高さ2.5センチほどの「H」のマークを施すこと。

また、ユニフォームの素材には軽く伸縮性と光沢がある最新の生地が使用された。

球団立ち上げの準備で東奔西走するハヤテのスタッフとの打合せはリモートで頻繁に行われ、ポロシャツや練習着、スタジアムジャンパーなど十数種類のウェアがすべて納品されたのはユニフォーム発表の前日だった。

早く勝つところを見せたい

ホーム用(左・田中投手)ビジター用(右・福田選手)

静岡市内で選手の入団記者会見が行われた2024年1月下旬。

ホーム用は白地にピンストライプの伝統的なデザイン、ビジター用はグレーのシンプルなデザインの真新しいユニフォームが報道陣に披露された。

ホーム用ユニフォームを着て報道陣の前に登場した田中健二朗 投手(常葉菊川高校出身・元横浜DeNA)は「ひと目見てシンプルですごく“カッコイイ”と思ったし、早くこのユニフォームを着て試合をして勝つところを見せたい」と感想を口にした。

背ネームがないデザインを採用

強いて言えば、残念なのはユニフォームの背中に選手のネームが入っていないこと。ハヤテ223の杉原代表は、「チーム一丸となって静岡に貢献する思いを込め、あえて選手個人の名前は入れなかった」と理由を説明しているが、誕生したばかりの球団だけにファンに選手の顔と名前を早く覚えてもらうためにも、ネームは入っていた方が良いと思うのだが…。

今後の夢

レワード・伊藤寿弘 社長

レワードでは今後、くふうハヤテのレプリカユニフォームや帽子、Tシャツ、選手のネームが入ったタオルなどファンのためのグッズ製作の話もあるという。

伊藤社長は「ものづくりのまち浜松で“やらまいかの心意気”を引継ぎ、消費者に愛されるメイドイン浜松ならではの製品を作っていきたい」と今後の夢を抱いている。

(テレビ静岡 特別解説委員・永井学)

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