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新球団で再起を目指す男たち ゼロからのスタート…戦力外通告を乗り越えて輝くか 静岡

くふうハヤテの福田選手(右上)、田中選手(右下)、池谷選手(左)

静岡県に誕生したプロ野球 球団「くふうハヤテ」には、NPB・日本野球機構に在籍した選手10人が入団した。チームは2軍のリーグ戦に参加する。戦力外通告などで挫折を味わった彼らは、ゼロからスタートする新球団で再起を目指す。

2軍リーグだけに参加する新球団

くふうハヤテのキャンプ(静岡市・清水庵原球場)

2024年1月25日、「くふうハヤテベンチャーズ静岡」のキャンプが本拠地となる静岡市の清水庵原球場「ちゅ~るスタジアム清水」で始まった。新球団の始動だ。

「くふうハヤテ」は日本に66年ぶりに誕生したプロ野球の球団だ。同時にNPB日本野球機構に参加する新潟アルビレックスBC(オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ)とともに2軍リーグに参戦する。

ウエスタンとイースタンの参加チーム

くふうハヤテは中日・阪神・広島・オリックス・ソフトバンクが属するウエスタン・リーグ、新潟アルビレックスは巨人・ヤクルト・DeNA・日本ハム・楽天・ロッテ・西武のイースタン・リーグだ。

これまでウエスタン・リーグは5チーム、イースタン・リーグは7チームだったが、それぞれ6チームと8チームになり、試合が組みやすくなる。

くふうハヤテの監督や選手たち

独立リーグに加盟していた新潟アルビレックスと違い、母体を持たない くふうハヤテはゼロからのスタートで、球団トライアウトなどで36人の選手を集めた。

NPB経験者は元ロッテの福田秀平選手や元DeNAの田中健二朗投手(静岡・常葉菊川高 出身)、池谷蒼大投手(静岡高 出身)など10人だ。

その他は独立リーグ出身者、大学生、高校生などで、メジャー傘下でプレーした外国人選手も2人いる。

福田秀平選手

福田選手(34)は13年間にわたりソフトバンクやロッテで活躍した外野手で、通算785試合に出場し通算打率は.229だ。ソフトバンク時代の2015年からは5年連続で80試合以上に出場し、特に2018年は110試合に出場して打率は.263だった。

田中健二朗選手

田中投手(34)は常葉菊川高校時代にセンバツで優勝したサウスポーで、横浜入団後は12年間で274試合に登板し14勝13敗1セーブたった。2人のベテランは若手を引っ張る役割も期待される。

田中投手は「元チームメートも多いし、若い選手も話しかけたら返してくれるので、とてもやりやすい。全開でいきたいですが、ケガをしたら元も子もないので体と相談してやっていければ」と話す。

くふうハヤテのキャンプ

2軍リーグだけに参加する球団だが、プロ野球セ・リーグ、パ・リーグの1軍で活躍する道はある。

NPB経験者は移籍先の球団が移籍金を支払うなど条件がそろえば既存の12球団に移籍できる。大学や高校から入団したNPB未経験者は、秋のドラフト会議で指名されれば12球団に入団できる。

静岡県民 待望のチーム

キャンプ初の日曜日は大勢のファン

新球団にはメディアも注目していて、キャンプ初日には県内外から27社が訪れた。地元ファンの期待も大きく初めての日曜日となる28日には、大勢のファンが球場を訪れた。

観客は「(選手たちは)すごく声が出ていて、動きもいい」「ファームだけど地元に球団があるのはうれしい」と喜ぶ。

静岡西高校出身の高橋新キャプテン

こうしたファンを1人でも多く増やすため、球団は「地域密着」をめざし“静岡色”を強める。

初代キャプテンは、静岡西高校出身で2023年まで北九州の独立リーグでプレーしていた高橋駿選手(26)を抜擢した。

高橋新キャプテンは「野球が大好きということをグラウンドで表現して、元気と笑顔を静岡に届けられたい」と抱負を語る。

静岡市出身の山下大輔GM

新球団を率いるのは静岡野球界のヒーローたちだ。

GMは静岡市清水区出身の山下大輔さん。大洋ホエールズ(現DeNA)の現役時代は8年連続で当時のダイヤモンド・グラブ賞(現在の三井ゴールデン・グラブ賞)を受賞するなど守備の名手として知られ、横浜ベイスターズの監督なども務めた。

藤枝市出身の赤堀元之監督

監督は藤枝市出身の赤堀元之さんだ。静岡高校時代に甲子園に出場し、近鉄バファローズに入団後は最優秀救援投手のタイトルを5回、最優秀防御率のタイトルを1回獲得した。引退後は近鉄のコーチや独立リーグの監督など、指導者としてもキャリアを積んできた。

故郷待望の新球団の初代監督に選ばれ赤堀監督は「このユニホームを着て戦えることにすごく感謝している」と話し、選手に対し「諦めたらそこで終わってしまうので、上を目指すためには諦めないで、しっかりと自分のものを出してチーム全体を盛り上げていくことが大切だと思う」と心構えを説く。

三島市出身の内田順三打撃アドバイザー

また三島市出身で元巨人の打撃コーチ・内田順三さんが打撃アドバイザーを務める。かつて松井秀喜さんや高橋由伸さんを育てた手腕に期待が集まる。

キャンプ初日にはNPB経験者のべテランたちに軸足の使い方を指導していた。

名門高校のWエースが再び同じチームに

竹内投手(左)と池谷投手

このチームで、静岡県の野球ファンが特に注目している2人がいる。

左投げの池谷蒼大 投手(24)と右投げの竹内奎人 投手(24)だ。同学年の2人は野球の名門・静岡高校で左右のWエースとして活躍し、2017年の春の甲子園では2人の継投で勝利をあげた。

静岡高校時代の2人

再びチームメートとなり、池谷選手は「懐かしいなという気持ち」、竹内選手は「また同じところを目指してプレーしていて、懐かしいうれしい」と喜ぶ。

高校時代は下宿生活で、同じピッチャーなので練習も同じ。長い時間を一緒に過ごし、仲は良かったそうだ。

キャンプでの池谷投手

高校卒業後、2人は別々の道に進んだ。

池谷選手は社会人野球のヤマハを経て、2020年ドラフト5位で横浜DeNAに入団。キレのある変化球を武器に2022年4月にプロ初勝利をあげたが、2023年に戦力外通告を受けた。プロ3年間で1勝だった。2023年12月には左ひじの手術を受けた。

2023年12月に左ひじを手術

池谷蒼大 投手:
戦力外になった後に野球をやめる選択もあったのですが、静岡にプロ野球チームができるのはいい縁だし、いろいろな方から熱い声をいただき、もう一回やろうと。静岡の皆さんや野球をやっているファンの皆さんに勇気を与えられたらいいなと思っています

竹内投手は医師との二刀流をめざす

一方、竹内投手は医師の道を志し、群馬大学医学部に現役で合格。整形外科医になるため勉強してきたが野球への思いをあきらめきれず、卒業間近の最終学年で新球団のトライアウトを受けた。野球は大学でも準硬式を続けていた。

キャンプでの竹内投手

2024年2月の国家試験を受けて医師免許を取ってから、野球に専念するつもりだ。

竹内奎人 投手:
この時点で野球をとらずに医師になる道を選択したら、のちのち絶対に後悔すると思ったので現時点では野球をやり切るという選択をしました

取材に応じる池谷投手と竹内投手

静岡高校時代に2人を取材した映像が残っていた。池谷投手が「夏は俺らしいピッチングで勝負するから、それで打たれたら頼むね」と話しかけ、竹内投手が「お前の後ろには俺がいつでもいるので、初回から全力で飛ばして」と答えていた。

左の池谷投手が先発し、右の竹内投手がリリーフして勝利につなげる。

再び同じチームになった2人は、お互いに刺激しあいながら夢の実現を目指す。

くふうハヤテのキャンプ

2軍リーグの開幕は3月。

くふうハヤテ ベンチャーズ静岡の開幕戦は3月15日、ホームのちゅ~るスタジアム清水にオリックス・バファローズを迎える。奇しくも赤堀監督が現役時代に活躍した近鉄バファローズの流れをくむチームだ。

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