リニア新幹線の建設工事をめぐり、いまだ着工していない静岡工区。静岡県議会の最大会派は15日 議論の大きな争点となっている、工事で出る土砂の置き場を地権者とともに視察しました。
リニアの建設工事で県が着工を認めていない静岡工区をめぐり、水の問題については10月に田代ダム案がまとまり解決へと動き出した一方、いま新たに焦点となっているのが土の問題です。
トンネル工事で出た土砂をどこに置くべきか、15日に県議会の自民改革会議の県議7人が、JR東海や南アルプスの静岡県部分のほとんどを所有する地権者「十山」の案内で候補地を視察しました。
まず向かったのは大井川上流の候補地の1つ「藤島」です。JR東海はこの場所に重金属を含んだ要対策土を盛り土し、シートを2重にして封じ込める計画ですが、県は盛り土条例に違反するとして認めていません。
自民改革会議・佐地茂人 県議:
もっと(重金属の)濃度が高くなるのであれば違った工法というか、もう少し頑丈な形の封じ込めも考え方的にはありなのかと
JR東海は対策について「二重遮水シートは数ミリでも丈夫で、半永久的に機能するもの。将来にわたり責任をもって管理していく」と説明しました。
また県議たちは東京ドーム3個分とされる発生土のうち、ほとんどが置かれる予定の「ツバクロ」も視察。
県はここも上流の山が大きく崩れる「深層崩壊」の可能性を懸念し、発生土置き場として認めていませんが、地権者は「自分たちからJR東海に提案した場所」と前向きな考えを伝えました。
地権者「十山」・鈴木康平 取締役:
自然環境への配慮は大前提ですが、(JR東海に)そうしたことをやってもらえるということを踏まえて、工事を受け入れることを決めている。大規模な自然災害の評価をどのようにするのが適切なのか、(県には)町場(=平野部)と同じような基準で考えてもらえないかと。その辺の溝が埋められたら
自民改革会議・増田享大 代表:
冷静に見なければいけないし、多角的に見ることはすごく必要だと思うので、十山さん(地権者)の話を聞けたことは私たちにとってすごく有益だった
リニア問題が「水」から「土」へと移りつつある中、発生した土砂をめぐり条例の適用除外の条件など解決の見通しは不透明なままです。