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【浜名湖】アサリ不漁の原因? 消えゆく“海のゆりかご”を「アマモ探検隊」が調査 

いま各地で「海のゆりかご」と言われる海草・アマモの減少が問題となっています。静岡県にある浜名湖では、子供たちが「アマモ探検隊」となって生育状況を確認。周辺に集まる小さな生き物たちの姿から、SOSの声を聞きました。

「昔はスクリューにからまるほど」

静岡県の西部に広がる浜名湖は、淡水と海水が交わる汽水湖です。かつて浜名湖には一面、アマモの草原が広がり、魚の赤ちゃんや小さやエビ、カニの隠れ家となっていました。

以前のアマモ群生地(浜名湖)

浜名湖の外海、遠州灘でアカムツ漁をしている漁師の鈴木邦夫さんが、湖の変化を感じたのは約10年前です。以前は見渡す限り広がっていたアマモが急激に減っていきました。

漁師(はまなこ里海の会)・鈴木邦夫さん:
昔は船のスクリューにひっかかるほどで、船を止めてはアマモを外していたんです。それが私の感覚では20分の1ぐらいの面積になってしまいました

「10年前は遠くまでアマモが広がっていた」漁師の鈴木邦夫さん

はるか遠くの水面を指して、一面にアマモが広がっていたと語りますが、今は底の砂が見えるだけです。

周辺で行われていた定置網の漁獲量は減り、浜名湖の観光の代名詞となっていたアサリの潮干狩りも不良続きでここ5年間中止です。魚は成長すると海に出て行く種類もあるため、外海の漁業にも影響する可能性があります。

出動!アマモ探検隊

9月9日に開催された浜名湖アマモ探検隊(浜松市西区村櫛町)

9日、浜名湖がある浜松市や湖西市の親子20人が、アマモの現状を学ぶために集まりました。

浜名湖ワンダーレイク・プロジェクトが開いた教室「浜名湖アマモ探検隊」です。

まずアマモがどんな植物なのか、NPO・はまなこ里海の会に所属する自然観察指導員の平井久夫さんから学びました。

自然観察指導員・平井久夫さん:
水中の窒素やリンを吸収し、酸素を出してくれます。水の浄化に一役かっています

アマモは5月頃に白い花を咲かせ、水中に花粉を漂わせます。種で増えるだけでなく、根茎が地中に広がり、株を増やしていきます。

左)コアマモ 右)アマモ

10月頃には一旦枯れ、息を吹き返すのは冬。1月頃から葉を伸ばし、どんどん成長します。寒い時期の冷たい水の中でいきいきと育っていくのがアマモです。

浜名湖のアマモはいま

船に乗って浜名湖の真ん中へ

アマモ探検隊の参加者は、アマモの生育状況と、そこに生息している生き物を観察するため湖に向かいました。

浜名湖西側の村櫛地区からボートに乗って約5分。着いたのは湖の真ん中にある桟橋です。

桟橋から水中に降りていく

桟橋には水中へと消えていく階段が続いています。

おそるおそる降りていくと、子供のひざ下から腰下程度の浅瀬でした。水底の砂はやわらかく、歩くとフワッと舞い上がります。

タモを片手に浅瀬を歩いていくと、うっすらと緑の水草が見えてきました。

まばらに生えるコアマモ

アマモと同種で小型の「コアマモ」です。アマモより沿岸に生育し、5㎝程度の長さですが、アマモと同じように海のゆりかごの役割を果たしています。このコアマモも、減少が懸念されています。

水中に目をこらす

ところが、生き物の影すら感じられません。「なんいもいないよ!」と声をあげる子供たち。主のいない殻だけになった貝を拾っては肩を落とします。

「きょうは特に生き物が少ないかもしれません」とスタッフも心配そうです。

タモに生き物が入っていないか探す

そんな中でも、小さな魚をつかまえることができた親子が出てきました。

水の中をひたすら歩いて、コアマモが茂る場所を見つけたら、魚影が見えなくてもタモで追い込んでみます。タモの中には、ほんの数㎝程度の魚の赤ちゃんが入っていました。

コアマモのまわりを泳ぐ小さな魚たち ※一部スロー処理をしています

「ヤドカリをつかまえたら、エビもくっついていたよ」。よく観察してヤドカリの殻に付いていたエビを見つけた子もいました。

つかまえたヤドカリ

見つかったのはマハゼやカワハギ、クロホシフエダイ。ひれが赤いのは、毒があるハオコゼです。ハマグリやマテガイ、サルボウガイなど、数種類の貝も見つかりました。

ハオコゼやマハゼ コアマモ周辺でとれた生き物

浜名湖の清掃活動に毎月参加しているという男の子は「隠れる場所がある所には魚もたくさんいたので、アマモが大切だとわかった。これからも湖をきれいにしたい」と話してくれた。

アマモという海草があることを初めて知ったという女の子は、「思ったより水がつめたくなかった」と、水温が高いことに驚いた様子でした。

生き物をじっくり観察

約1時間で10数種類の生き物を見つけた探検隊。種類を確認して、コアマモが生き物のすみかとなっていることを実感したあとは、生き物を湖に返して観察を終えました。

今回、アマモを見ることはできませんでした。アマモが茂っていれば、もっとたくさんの生物が隠れることができたでしょう。小さな生き物たちの姿は、探検隊にSOSの声を届けているかのようです。

クロホシフエダイ

アマモ減少の原因は水温か

なぜアマモは減ってしまったのでしょうか。

自然観察指導員・平井久夫さん:
近年は黒潮が蛇行し、浜名湖近くの海水温が2~3℃上がっています。アマモが生息できるのは31℃前後までです。海水温の上昇が原因の1つではないかと言われています

NPO はまなこ里海の会(自然観察指導員)・平井久夫さん

また浜名湖に注ぎ込む都田川の流量が減り、淡水よりも海水の割合が高くなったことも原因ではないかと言われているそうです。

参加者からは「苗を植えて増やせないか」との声があがりました。まだ顕著な成果はあがっていませんが、全国ではアマモの種をまいたり苗を移植したり、試行錯誤が続いています。

浜名湖ワンダーレイク・プロジェクトは、秋にも家庭で種からアマモを育てるキットをつくり、育てた苗を浜名湖に戻す試みを始める予定です。

アマモの大切さを学んだ参加者たち

乙姫様の落とし物

アマモの和名は「リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ」と言います。

漢字で書くと「竜宮の乙姫の元結いの切り外し」。つまり乙姫様の髪の毛です。

昔は豊かに茂るアマモの草原から、切れた葉が波打ち際に流れ着き、その様子を見てロマンチックな名前が付いたのではないかと言われています。

乙姫様の髪のように豊かなアマモが、また波打ち際に流れ着く日が戻るように。アマモ探検隊の隊員たちは生き物のSOSをしっかりと受け止めました。

※一部合成しています

「浜名湖アマモ探検隊」は、浜名湖で近年問題となっているアマモの減少を食い止めるために、周辺で暮らす人たちが力を合わせてできることに挑戦しようと立ち上がった「浜名湖ワンダーレイク・プロジェクト」の一環です。次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる日本財団「海と日本プロジェクト」の支援で行われました。

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