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静岡県の新野球場計画で事業費“上振れ”で450億円の調査報告「隠すつもりはなかった」 基本計画に記載なしで県議苦言

2024年の静岡県知事選挙でも争点の一つとなった浜松市の野球場建設問題。県屈指の大型投資事業となるこの問題について3月6日の県議会・建設委員会では議員から質問や意見が相次ぎました。

新野球場建設予定地(浜松市篠原地区)

自民改革会議・中田次城 議員:
県の担当の考えとしてこれはいかがなものなのか

3月6日開かれた県議会の建設委員会。

議員から意見や質問が相次いだのは浜松市の篠原地区に建設予定の新野球場についてです。

この計画をめぐり県は2022年度の試算で収容人数2万2000人のドーム型で370億円、屋外型で100億円、収容人数1万3000人の屋外型で70億円と算出していました。

しかし2023年度 県が委託した調査会社がまとめた報告書ではドーム型で450億円など県の試算よりも上振れしていたことが発覚。

自民改革会議・飯田末夫 議員:
まずはじめに苦言を呈したい。(建設委員会でも)情報の共有ができていなかった。これは非常に重要なこと

自民改革会議・中田次城 議員:
野球場の問題については、県政の中でも例えば議会でも所属会派でもそうです。
良いっていう人もいれば悪いという人もいる、結論が出ていない、これがいまの正直なところ。
(3案の事業費)すべてが1.2倍から1.3倍になっている。
これが現実なんだから、事実に基づいた報告をきちんとしないと、これから協議会で判断を仰いでいくときにこの数字は?となったとき信用がなくなる

建設委員会で答弁する新野球場建設予定地(浜松市篠原地区)

県屈指の大型事業新野球場計画。

建設予定地の篠原地区は海岸がアカウミガメの産卵場所でもあり県は照明による影響を避けるため構造は「ドーム型」か「照明のない屋外型」にしぼりました。

なかでも浜松市や地元経済界が要望しているのはドーム型です。

こうした中、2024年7月 県は3つの案を並べた状態の基本計画を公表。

しかしすでに出ていたはずの事業費の上振れは反映されていませんでした。

6日の委員会で、県側はあらたな事業費を示すことで混乱を招くとことを危惧したと説明しています。

県都市局・新野球場建設予定地(浜松市篠原地区):
新たな事業費を掲出することは、かえって混乱招くのではないかと考えてしまい、算出地点を明らかにしたうえで、基本計画を取りまとめるまでは2022年度に算出した事業費を変更しないと考えで進めてきました。委員から指摘もあった「隠す」といったつもりはありません

新野球場計画について県は2025年1月に県と浜松市でつくる協議会を設置。

全6回の協議で3つの案の中から最適な案を取りまとめる方針で議論を進めています。

注目度が高く賛否も分かれる中どう進められているのかその透明性も求められていれます。

新野球場計画の3案

浜松市の新野球場は、収容人数が2万2000人の多目的ドーム型、同じく2万2000人の屋外型、1万3000人の屋外型この3つの案を県は基本計画で示しています。

2022年度の試算では概算事業費はそれぞれ370億円、100億円、70億円でした。

しかし2023年度に改めて試算したところ450億円、130億円、90億円と2割から3割増額となりました。

その理由については、資材価格や人件費の高騰で物価高は最近も続いているため建設コストはさらに膨らむ可能性も懸念されています。

官民連携導入可能性調査について

6日の委員会では県が行った「官民連携導入可能性調査」について議員から質問が相次ぎました。

この調査は県が2024年3月までに基本計画策定の前提として民間に約2200万円で委託して行ったものですが、このときの調査で「ドーム型で450億円」とすでに概算事業費が上振れしています。

それにも関わらず調査から4カ月後の2024年7月に策定した基本計画には、その結果が反映されおらず「ドーム型で370億円」と示されていました。

建設委員会の質疑応答について

6日の建設委員会では飯田議員は「予算をかけて行った調査なのに議会への説明がなかった」、中田議員は「上振れしていたなら事実に基づくべき。公表しないのはいかがなものか」などと苦言を呈しました。

これに対し県の担当者は「隠すつもりはなく、混乱を避けるつもりだった。建築資材の高騰や人件費の上昇などを踏まえた事業費は改めて算出する」と説明しました。

予算をかけた調査結果が基本計画には反映されず、調査結果は公表されていません。

ジャーナリスト・鎌田靖さん:
やはり、県の対応は不誠実としか思えない。一番大事な情報「いくらかかるか?」を意図的に出さなかったように感じる。今の時点で、本当に必要なのか原点にかえって考え直す必要があるのでは

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