ここ最近、静岡県内で急増しているのが特殊詐欺の被害です。
被害が増える中、いま取り沙汰されているのがミャンマーにある特殊詐欺の国際的な拠点です。日本人も監禁されているというこの拠点は県内とのつながりはあるのでしょうか?
現地で取材中の杉村記者と中継でお伝えします。

FNNバンコク支局・杉村祐太朗 記者:
こちらはタイとミャンマーの国境のタイ側に位置するメソトという街です。この場所は街の中心部から20分程 離れていて周囲が木々に囲まれているのどかな場所です。
一方で川を隔てて対岸に見えるのがミャンマー側です。
オフィスビルのような建物や住宅のようなものも見えると思いますが、こちらがいま、“犯罪都市”と呼ばれている「シュエコッコ」です。
「シュエコッコ」は中国系の企業が莫大な資金を投じ開発を進めてきましたが、近年では中国系の犯罪組織が拠点を構え、そこから世界中の人に特殊詐欺などを行っているとみられています。
2月には摘発により監禁されていた7000人以上が解放されました
FNNバンコク支局・杉村祐太朗 記者:
いまこちらで鳴っている機械音聞こえますでしょうか?
「シュエコッコ」では特殊詐欺に使う通信環境を遮断するために電力供給が停止されています。そのため自家発電でしのいでいる状態です
(Q.大規模な詐欺拠点がなぜミャンマーの国境付近に?)
FNNバンコク支局・杉村祐太朗 記者:
こうした国境地帯は少数民族の武装勢力が支配権を握っています。現金を得るために武装勢力は昔から中国系の犯罪組織と経済的な結びつきを強めていて、そのことが詐欺拠点の増加につながりました。
また、ご覧の通り国境の川がボートなどで簡単に渡れそうなほど浅く、監視の目も少ないので、タイ側から不法入国して特殊詐欺を行う人材を呼び込みやすいのもポイントです
(Q.日本人も31人監禁されているというが解放の見通しは?)
FNNバンコク支局・杉村祐太朗 記者:
ミャンマーの複数の詐欺拠点で日本人の姿が確認されたという情報もありますが詳細はわかっていません。
こうした中、2月26日には36歳の日本人の男が発見されましたが、この男を含めて、そもそもだまされて詐欺に加担させられていたのか、組織側の人物なのかも分からない状況です。
そして、ここ最近の情報では犯罪組織が拠点を移している可能性も指摘されていてミャンマーからタイを挟んだ東にあるカンボジアに犯罪組織が流れている可能性があります
(Q.県内でも特殊詐欺が増えている。関連はあるのか?)
FNNバンコク支局・杉村祐太朗 記者:
ミャンマーからの詐欺電話で県内の人が詐欺にあった、または騙されてミャンマーに連れていかれたという話はこちらでは確認できていません。
ただ、他の県では宮城県や愛知県に住む男子高校生がミャンマーに連れていかれ特殊詐欺を強要されるなど、地域や年齢問わず、犯罪組織の魔の手が伸びています。
実際、私もタイで起きた特殊詐欺事件で組織側が持っていたリストを見た際、静岡県に住む高齢者の名前や住所が書かれたものもありました。
ここ数年の被害の急増なども考えるとミャンマーからも県内に詐欺電話をかけていることは十分に考えられます
(Q.特殊詐欺やロマンス詐欺…どんな詐欺の種類がミャンマーからは多い?)
FNNバンコク支局・杉村祐太朗 記者:
あらゆる詐欺が行われているとみられています。
高齢者を狙う振り込め詐欺のほかにもロマンス詐欺や投資詐欺などインターネットを使った特殊詐欺を中心に行われているとみられます。
そのほとんどがマニュアル化されていて、AIで作成した顔写真や動画のほか、複数の言語を操る音声モデルなども作られ、被害者との会話に使われるなど手口は巧妙化しているのを感じます
(Q.詐欺行為に加担していた日本人は自発的に参加していたのか、意思に反して強制的に参加させられていたのか?)
FNNバンコク支局・杉村祐太朗 記者:
はっきりしたことはわかりませんが、タイ当局はほとんどの日本人が自発的にミャンマーにやって来たとみています。
つまり、犯罪行為に加担することをある程度わかっていながらミャンマーに入国した形です。武装勢力は拠点から逃走した日本人が複数いるともしていて、こうしたことから自発的に参加した人が多いとみられます
(Q.取材を通じて感じることは?)
FNNバンコク支局・杉村祐太朗 記者:
私は国境で2週間ほど取材を続けていますが、感じるのはこの特殊詐欺の問題は一朝一夕には解決しないということです。
これだけ摘発を受けてもミャンマーの国境地帯では新たな詐欺拠点とみられる建物が所々に作られています。犯罪組織は統治の及びにくい国や地域を探して移動を繰り返していくものとみられます。こうした国では当局による犯罪拠点の徹底的な摘発が必要だと感じます。
一方で私たちもあやしい電話やSNSでの勧誘などに注意を払っていくことが改めて大切だと感じました