フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングスは記者会見後、初めてとなる定例の取締役会を開きました。現在置かれている状況の確認や、今後の方針などについて話し合われている模様です。
取締役会では社外取締役7人が提言した「経営刷新小委員会」の設置などについて議論する見込みです。
さらに、社外取締役からは一連の問題を受けてCMの減少量や番組制作とグループ全体への影響など8項目に関して具体的な説明を求めることにしています。
また、週刊文春が問題を指摘する記事の一部を訂正したことについても議論される見通しだということです。
林芳正 官房長官:
フジテレビジョンが関わる各省の広報啓発活動については、同社を巡る現下の状況などを踏まえて当面フジテレビジョンへの広告出稿は見合わせる
また、林官房長官は1月30日の記者会見で、フジテレビが関係する政府の広報啓発活動について、実施中や今後予定されている広告4件すべての広告出稿をとりやめていることを明らかにしました。
さらに、フジテレビへの広告出稿は当面見合わせる方針を示しています。
その上で林長官は「同社が作成する番組などとのタイアップや企画制作への協力については、その趣旨、目的、効果を各府省で総合的に勘案し、内閣官房に相談の上で対応する」と明らかにしました。
一連の問題についての影響や対応が続いていますが、一方で週刊文春がトラブル当日に被害女性がフジテレビ社員とされる「A氏に誘われた」との内容を「中居氏に誘われた」と訂正したことについても余波が広がっています。
週刊文春の竹田聖 編集長は記事の訂正についてお詫びをした上で以下のように説明しています。
事件直前、A氏は被害女性を中居氏宅でのバーベキューに連れて行くなどしていて、被害女性も週刊文春の取材に対し、「(事件当日の会食は)Aさんがセッティングしている会の“延長”だったことは間違いありません」と証言し、A氏がトラブルに関与していた事実は変わらないとしています。
ここからはジャーナリスト・鎌田靖 氏(元NHK)の解説です。
-週刊文春の一連の対応についてはどのようにみている?
ジャーナリスト・鎌田靖 氏:
第1報と第2報で中身が少し変わった。(事件当日の会食を)誰が設定したかというところは社の関与としては核心に近い部分。そこを変えた。
変えたきっかけというのは私は文藝春秋社の幹部に28日・29日に取材したが、今週発売号の文春にも記事が出ているが、橋下徹さんが文藝春秋への注文というところで「大事な点をしれっと誤りを上書きするような対応は不誠実なんじゃないか」という内容を受けて、単純に修正しただけではなくて訂正してお詫びしようという結論に達したと言っている。
なぜこういうことがあったかというと、取材の詰めが甘かったということに尽きると思う。きちんとした形で訂正をしなければいけない。つまりそれがフェアな対応だと思ってこういう対応をしたということ。なぜそれが今か、フジテレビ側からすれば27日の会見の前にこの訂正があれば状況は変わったという受け止めも当然ある。
文藝春秋社の対応にはいろいろな意見があるだろうと思う。ただ、この問題と今回問題を引き起こしたフジテレビの対応なり、あるいはこの女性に何があったのかということは第三者委員会の調査を待たなければ難しいという面もあるので、切り分けて考えて冷静に見ていく必要があると私は文藝春秋の幹部にも話した。
-フジテレビでは30日も取締役会で今後の方針について議論されている。新たな体制にはどんなところを求めていきたいか?
ジャーナリスト・鎌田靖 氏:
記者会見の時の最大の印象は全て甘く考えていたのではないかということ。港社長が再三繰り返していた「女性のケアが必要だった。プライバシーを優先しなければならないから、あのような対応になった」と言っていたが、実際に移した行動というのは中居氏をそのまま番組に起用し続けたり、コンプライアンス室に連絡しなかったり、対応が極めて稚拙で何もしなかったに等しいようなところを受け止めて、言っていることと実際の行動に矛盾が起きているというような印象が一番大きい。
港社長は「この対応は良くなかった」と言っているが、その点が一番フジテレビにとって求められるところだと思う。
-27日のやり直しの会見では取材側から厳しい意見や質問などがフジテレビ側に相次ぎ、持論を展開したり同じ質問を繰り返すなどの取材する側の姿勢が問題視されたが鎌田さんはどう思う?
ジャーナリスト・鎌田靖 氏:
記者会見はプロのジャーナリストが取材先から事実を引き出すために質問をする場のはずだが、27日の会見は自説を主張したり議論をしたり、記者会見の目的を履き違えているような場になっていたような印象が強い。
では、昔のように限られた人間だけの会見が良いのかというと、そうではないと思う。今はオープンな形での記者会見という方向に流れている。そうした中で今回の記者会見で指摘したような課題が見えて来た。これからの記者会見の在り方を考えていかなければいけない。
今後は第三者委員会の調査が具体的にどのように進められていくのか注目されます。