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静岡県三島市で若い感性を生かして地域を活性化しようと大学生が開発した観光ツアーが行われた。「孫との散歩」もテーマになったツアーは企画から実施まで大学生が中心となって手がけた。
大学生が地元の魅力をPR

2024年12月。静岡県三島市で1泊2日の観光ツアーが開催された。
東京発着で3万9900円のこのツアーは三嶋大社や三島スカイウォークといった誰もが知る観光名所だけではなく、地元の日本大学に通う”学生ならでは”の目線から三島の魅力を詰め込み、案内も大学生自身が担当した。
ツアー参加者:
若い人たちの接触があるので、そのエネルギーを少しでももらいたいと思い参加した

このツアーの準備が始まったのは2024年4月。
阪急交通社・中村栄史さん:
下見というのは、せっかく素敵な観光素材を並べたところでお客様に満足してもらわなければいけない非常に大きなポイント
今回は授業の一環として単に観光ツアーを企画するだけでなく、旅行会社の協力のもと実際に商品として販売することとなっている。
そのため観光客を呼び込むためのポイントや企画から実施までの流れをプロから学んだ。
日本大学矢嶋ゼミナール・赤松優ゼミ長:
三島には見えない隠れたもの、私たち大学生しか知らない、いわゆるZ世代しか知らないものがいっぱい隠れていると考えている。そこで付加価値を付けることで高く販売し、ビジネスとして収益につなげていけたら良い
実は三島市観光協会も地域活性化に若い世代の感性を生かそうと日本大学と協定を締結しており、今回の取り組みもその一環だ。
プロのアドバイスを参考に

冬場に実施を予定している観光ツアー。
そこで学生たちが旅のメインに据えようと考えたのが、キレイな水と豊かな土壌で育まれた箱根西麓三島野菜の収穫体験だ。
農家・宮沢竜司さん:
11月でやれると思うのはニンジンが一番おすすめ。包丁などを使うとそれだけケガのリスクも出てくるので
下見に来た学生:
靴などが汚れ、バスの中が汚れてしまうという不安がある
農家・宮沢竜司さん:
バスの中に汚れた靴や土とかで最後乗り込むのをすごく嫌がる。必ず収穫体験の人たちには替えの靴を、例えば「長靴を持ってきてください」と言い(替えの靴を)持ち帰る時には「袋も持ってきてください」と言う
電話やメールではなく、実際に現地を訪れて話を聞いたり現場を見たりすることで新たな発見があったようだ。

2024年6月。いよいよ考え抜いたツアー日程のプレゼンの日だ。
野菜の収穫体験に加え観光名所をめぐるほか、昼も夜も豪華な食事の付いた1泊2日のプランを提案するが、ここで問題が…
阪急交通社・大塚龍一さん:
全般的な部分でいうとやっぱり予算感。これが非常に大事。ツアーを作るうえで残念ながら7割が予算、3割がツアー内容と言われている
一方、高い評価を得たのが高齢層をターゲットに「孫との散歩」をイメージした水辺の散策だ。
阪急交通社・大塚龍一さん:
日大生と行くツアーというのは本当に非常に大きなポイント。一般のツアーの中で地元の人たちとの交流というのは非常に少ない。交流を一番のポイントに置いたツアーは他のツアーとの差別化が図れる
アドバイスをもとに行程や価格帯を練り直し、8月には販売が始まった。
いよいよツアースタート

そして迎えた12月1日。
観光バスから降りてきたツアー客はわずか5人だったが、まずは熟練の職人よる和菓子作りを体験。
参加者の様子が気になる学生がのぞき込むと…
ツアー参加者:
じっと見られるとあがっちゃう
続いて訪れたのは古くから当地に鎮座し、奈良時代や平安時代の古書にも記録が残る三嶋大社。
ここでは普段立ち入りが禁じられている場所まで案内してもらったほか、正式な参拝の方法を学ぶ。
ツアー参加者:
“まちおこし”というか、文化を中心とした発想で(良い)

ツアー2日目の朝はプレゼンの際に高評価だった水辺の散策から始まった。
そして、一行は箱根西麓に。
農家・宮沢竜司さん:
葉っぱの大きさ、ある程度大きいのを選んで抜くとこんな感じで簡単に抜ける
都会ではなかなか味わうことのできない自然の中での収穫体験に参加者からは笑顔がこぼれる。

最後は国内最長400mの長さを誇る歩行者専用のつり橋・三島スカイウォークから雄大な景色を眺め、旅を締めくくった。
ツアー参加者:
学生たちのすごく素直でいろんなお話が聞けて楽しかった。将来に向けて頑張ってもらいたい。夢がいっぱいでとても幸せだった
採算ラインには及ばなかったが

日本大学矢嶋ゼミナール・赤松優ゼミ長:
ビジネスそのものの難しさを感じた。今回のツアーの参加者は少なかったが、少ないから逆にメリットがあった。みなさんとより深くより親密に関われたことが非常にプラスだと考えている
残念ながら採算ラインには遠く及ばなかった今回のツアー。
しかし、大切なのは三島市の観光において何が売りとなり、これから何をPRしていくべきなのかであり、市内の関係者は学生たちの反省や失敗を教訓にしつつ、若者の視点を活かした新たな展望を模索していく考えだ。