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37年の時を超えオープンにこぎつけた”映画館” 若き館長の情熱により結実 地域のコミュニティ形成への期待も 静岡・伊東市

金星(きんぼし)シネマと梅沢館長

静岡県伊東市に小さな映画館がオープンした。最盛期に6軒あった映画館がゼロになってから37年。そこには映画好きの若き女性の情熱が詰まっていた。

住んでいる街に映画館がない

梅沢舞佳 館長

金星シネマ・梅沢舞佳 館長: 
伊東の街を象徴するというと大げさかもしれないけれど、伊東という場所を感じられるような映画館になればいい。ここにしかないものができればいいなと

静岡県伊東市に住む梅沢舞佳さん。

2024年9月、市内に37年ぶりとなる映画館「金星(きんぼし)シネマ」をオープンさせた25歳の若き館長だ。

映像制作現場の様子(梅沢さん提供)

出身は東京で、中学生の頃から映画館に入り浸り、映画関係の学校を卒業後は映画製作会社に就職したが体調を崩し退職。

2022年に伊東市へと移住し、父と暮らす中で自分のやりたいこと、できることを自問自答したと振り返る。

金星シネマ・梅沢舞佳 館長:
自分の住んでる街に映画館がないのは、物足りない 気持ちがあり、じゃあ自分で作ってみようという思いつき

手づくりの映画館に住民も期待

映画館の内装作業の様子(2024年8月)

最盛期には6軒の映画館があった伊東市。

しかし、映画ファンの減少や施設の老朽化を背景に、最後の1軒が37年前に閉館すると、その面影は通りや駐車場の名前に残るだけとなっていた。

梅沢さんは元は医療施設だった場所を映画館にするため、2024年7月から友人の手なども借り改装に着手。

約2カ月かけて手作りで内装を仕上げた。

梅沢さんの父 庸浩さん

いよいよオープンを翌日に控えたこの日、備品の製作などに取り組んでいたのは梅沢さんの父・庸浩さんだ。

作業をしながら庸浩さんは「スピーカースタンドを急遽作ってと言われたので、いま作ってペンキ塗っているところ。まさか(映画館が)実現するとは正直びっくりした。」と笑顔を見せた。

オープン前に訪れた人

昭和末期以来の映画館とあって地元の期待も大きく、オープン前にも関わらず訪れた人は「歳を取っているので暇つぶしというか、そういうところが無いかなとずっと待っていた。(映画館が出来て)よかったです、しょっちゅう来ます」と梅沢さんに話しかける姿もあった。

これには梅沢さんも「ホームページや記事を見て『応援してます』とか『来ます』とかうれしいです」と明るい表情を浮かべたが、一方で「プレッシャーが…」と不安も口にする。

37年ぶりの映画館 「金星シネマ」オープン

金星シネマ館内

140インチのスクリーンを備えた金星シネマの客席は16席。

ゆったりと映画を楽しむことができる作りになっていて、カフェも併設されている。

そして、いよいよオープン当日。

梅沢さんは「ミスしないよう頑張ります。よろしくお願いします」と少し緊張気味に挨拶。

金星シネマでは1日4作品を上映し、いずれも梅沢さんが厳選したものだ。

ラインナップは3週間ごとに入れ替える予定となっている。

来館者

果たして来館者の反応は…

来館者:
歩いて5分くらいの所なので毎週来ようかなと思っている。映画が大好きなので(工事を)している時から「そろそろかな」と思ったら(オープンの)情報がスマホに出ていたからすごく楽しみ
  
来館者:
手作り感満載だったけれど本当のシアターみたいですごく立派でびっくりした

来館者:
感動的だった。椅子もすごく座りやすくて角度も見やすくて(家が)近くなのでまた来ます

オープンから2週間が経っても、37年の空白の時を埋めるかのように連日、来館者が途絶えることはなかった。

感謝の言葉に支えられ…

梅沢舞佳 館長

金星シネマ・梅沢舞佳 館長:
オープン前はどれくらい来てもらえるのか、やっぱり不安があった。なんとか噂がじわじわと広がってくれたみたいで、たくさんのお客さんに来てもらいうれしい。一番多く言ってもらったのが「映画館を作ってくれてありがとう」という声。大変だったがやってよかった

来館者対応する梅沢 館長

手作りの小さな小さな映画館。

それでも映画という文化を通して、これからも地域のコミュニティ形成に大きな役割を果たしてくれるはずだ。

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