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10月24日に毎年恒例のプロ野球ドラフト会議が開かれる。
静岡県の高校生は6人がプロ志望届を提出しているが、最も注目されているのが知徳高校の小船翼 投手だ。身長は198cm。球速は県内歴代最速タイの最速152kmだ。期待の逸材に“運命の日”を待つ胸中を聞いた。
最速152kmの大型右腕にプロも注目
プロ野球ドラフト会議。
高校・大学・社会人・独立リーグなど野球選手の誰もが指名を夢見る檜舞台は毎年様々なドラマが生まれる。
そして2024年、静岡県内からは知徳高校3年・小船翼 投手がプロ志望届を提出し、その日を待っている。
ドラフトを10日後に控えた10月15日。心境を語ってくれた。
知徳高校3年・小船翼 投手:
すごくワクワクしている。緊張や実感はあまりなくて、ドラフトで指名されてもされなくてもこの先 野球は続けていくと思うので、今自分のできることをしっかりやろうと思っている
身長198cm。
ひと際大きな体が脚光を浴びたのは2024年春だった。
高いリリースポイントから投げ下ろす角度あるボールは最速152km。冬場の筋力トレーニングで力強さも増し、1試合15奪三振を記録するなど全国でもその名が知られるようになった。
4月に取材した時には「夏に158kmくらい球速を出したい。チームを勝たせられる投球ができたらいいなと思う」と夏に向けての目標を語っていた。
最終学年の2024年になって、日常的にプロ球団のスカウトが訪れるようになり、日増しに注目度は高まっていった。
母も足しげく試合観戦
ドラフト候補として最後のアピールの場となった夏。
野球ファンやスカウトとは違った、暖かな視線を送っていたのは母のしのぶさんだ。
小船投手は神奈川県の出身で、親元を離れて寮生活を送る息子のため、しのぶさんは公式戦や練習試合に足しげく通っていた。
母 ・しのぶさん:
(Q心配ですか?)心配ですよ。みんなの思いを背負って投げるじゃないですか。やっぱり怖いなって
そんな母の胸騒ぎは現実のものとなる。
悔しい夏 支えてくれた家族に感謝
夏の甲子園を目指した静岡県大会の初戦。
小船投手は先発マウンドを託されたものの打球が顔面を直撃。負傷で無念の降板となった。
その後も熱中症などでコンディションが整わず、また球速も150kmに届くことはなくプロ野球のスカウトにアピールしたかった高校最後の夏はベスト8で幕を下ろした。
負傷退場した2回戦(vs浜松日体)は3回1/3で1失点、3回戦(vs浜松学院)は5回3失点、4回戦(vs藤枝明誠)は6回2失点、準々決勝(vs聖隷)は5回4失点だった。
小船投手は「自分の調整不足。自分を過信していたところもあったと思うので、そういうところが裏目に出続けて悔しい部分の方が多いですね」と夏の県大会を振り返る。
力を発揮できない悔しさは残ったが、高校野球を終えたいま、陰ながら支えてくれた家族への感謝もこみ上げてきたようだ。
小船翼 投手:
高校では見守ってくれた時が多いので、見守ってくれたことに感謝しています。見守ってくれてやる気になった
ともに成長した仲間にも感謝
そして、もう1つ。彼を支えていたのは、ともに戦い、ともに成長してきた仲間の存在だった。
この夏、2試合連続の本塁打を放つなど急成長を遂げたキャプテンの松本陣 選手。小船投手とともにプロ志望届を出した。
松本陣 選手:
(Q小船選手がいたから頑張れた?)本当にそれはもう間違いない。いてくれないとここまで本気でやれていなかった
小船投手の恵まれた体格は大きな才能だが、奢らず努力を欠かさなかったからこそ、チームメートも彼を認め、高め合い、絆を深めてきた。
そして、彼の夢が叶うことを心から願っている。
チームメート:
1年生の時からずっと一緒にいて、いつも前向きにマイペースで努力している姿を見て、やっぱりプロの世界で活躍してほしいという思いがあります
小船投手は「自分が(仲間を)引っ張っていくぞという気持ちで、もっと練習したりとか、あとは支えてくれたり、そういうところが一番大きい。『1日中(仲間と)一緒にいろ』と言われたらいられるくらいです」と話す。
夢への扉は開くか
ともに戦ってきた仲間、支えてくれた家族、全ての出会いに感謝して。
夢への扉が開くことを信じ、小船翼 投手は運命のドラフトを待つ。
知徳高校・小船翼 投手:
(指名されれば)3年生も家族も先生たちも喜んでくれると思います。自分に関わってくれた人たち全員が喜んでくれると思います。(Qそういう結果が届くと良いですね)届くと良いですね
調査書はプロ野球6球団から届いているという。
行きたいのはパリーグ。理由は「ピッチャーに専念できるから」だそうだ。
ドラフトは10月24日に開催される。