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強制不妊手術訴訟で国と和解成立 「ジュビロのサッカー観戦に行きたい」 旧優生保護法めぐり 全国2例目

旧優生保護法のもとで不妊手術を強いられたとして、視覚障がいがある静岡県浜松市の女性が国に損害賠償を求めていた裁判の控訴審で、9月13日、国が1650万円を支払うことで和解が成立しました。

静岡地裁浜松支部(2024年5月)

浜松市の武藤千重子さんは旧優生保護法のもとで視覚障がいであることを理由に、不妊手術を強いられたとして国に対し3300万円の損害賠償を求めていました。

一審で地裁浜松支部は「旧優生保護法を憲法違反」と判断し、国に1650万円を支払うよう命じたものの国は判決を不服として控訴していました。

武藤さんと弁護団(13日 東京高裁)

13日の控訴審で、国が1650万円を支払うことで和解が成立しました。

全国2例目の和解成立です。

武藤千重子さん

武藤千重子さん:
このことを知ってから丸5年ですから。裁判をやって4年ですから、本当に楽しいことばかりではありませんでした。

いろいろ人に助けてもらいましたけど、でもやっぱりつらいことの方が結構多かった。私の心の中も揺れ動くことばかりで、もうやめてしまいたいと思ったこともなんべんもあります。

本当にみんな大勢の人が関わっていることなので、私一人のわがままは言えないので、なんとか頑張ってきましたけど、でも、きょう、本当にきょうで終わりということがわかりましたので、これからは私のことをやって生きていきたい

これから先 5年なのか10年なのかわかりませんけど、とりあえず今からジュビロのサッカー観戦に行きたいと思っています

ほかにも、県内の80代の女性が損害賠償を求めた裁判も和解が成立しました。

この裁判をめぐり、最高裁は20年で賠償を求める権利が消滅する「除斥期間」を認めない判断を示していて、国は早期の和解に向けて調整を重ねていました。

加藤鮎子 こども政策担当相

また、政府は13日、強制不妊手術をめぐる訴訟の原告側と和解のための合意書を締結しました。

合意書では手術を受けた被害者本人に最大1500万円、配偶者に200万円を支払うことなどが盛り込まれました。

加藤鮎子 こども政策担当相:
旧優生保護法を執行してきた立場として、その執行の在り方も含めて、政府の責任は極めて重大なものがあり、改めて真摯に反省をすると共に心から謝罪を申し上げます

旧優生保護法とは

旧優生保護法をめぐるこれまでの経緯や和解の内容をまとめました。

旧優生保護法は1948年に制定され、その目的は「不良な子孫の出生を防ぐこと」でした。

この法律のもと、障害のある人などに本人の同意なく、強制的に不妊手術や中絶手術が行われていました。

1996年に「母体保護法」と改められ強制的な不妊手術の規定などが排除されましたが、旧優生保護法のもと約25000人が不妊手術を受けたとみられています。

そして2024年7月、不妊手術をめぐる裁判で「旧優生保護法は憲法違反」として国に損害賠償を命じる判決を下したことを受け、政府は13日に和解のための合意書を締結しました。

合意書の主な内容は「国が心より深く謝罪」「被害者本人に最大1500万円・配偶者に200万円支払う」です。

さらに「対策などの協議の場の設置」などが盛り込まれました。

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