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パリ五輪では日本勢の活躍に興奮しましたが、多くの五輪選手が中学時代に活躍したのが全国大会として開催される全国中学校体育大会、通称・全中です。
ところが、この全中で水泳やハンドボールなど9つの競技が3年後から実施されなくなります。
一体なぜなくなってしまうのでしょうか?
廃止が予定される競技の選手たちは
この日、静岡市清水区では中学生活で最も大きな大会全国中学校体育大会、通称・全中への出場をかけてハンドボールの県大会が行われていました。
静岡東中学校3年生:
絶対きょうは勝つという思いでやりました。目標の県大会優勝に一歩近づけたのでうれしい
選手たちが目標に掲げる全中は現在、陸上やサッカーソフトテニスなど20競技が実施されています。
しかし、日本中学校体育連盟は全中の規模を縮小すると発表しました。
3年後の2027年度以降、水泳や相撲、そしてハンドボールなど9つの競技で大会が廃止となります。
全中での活躍は強豪校への進学の道が開ける舞台でもあります。
廃止となるハンドボール部の中学生たちは…。
静岡東中学校3年生:
全国大会はすごく夢のような存在。中学で3年間がんばってきた部活のハンドボールがなくなってしまうのはすごく寂しい
静岡東中学校3年生:
自分たちが一生懸命やってきた大会なのになくなるのはとても寂しいこと。目標がなくなることはとても寂しいことだがハンドボールが上達することはとても楽しいことなので(後輩たちは)楽しんで練習してほしい
静岡県焼津市にある「やいづ相撲クラブ」。
こちらのクラブでは小学生から大人まで37人が所属しています。
このうち中学生は7人。夢の舞台である全中出場に向け稽古を重ねています。
やいづ相撲クラブ2年生:
来年の中体連で全中に行きたいというのがまず一番の目標です
やいづ相撲クラブ2年生:
中2なので中3の中体連のベスト8に入れるようにそれを目標に頑張っています
相撲クラブの中学生が目指す全中ですが、相撲もまた3年後から全中で実施されなくなります。
選手からは落胆の声が聞かれました。
やいづ相撲クラブ2年生:
目標が1つ減ってしまうということでとても悲しく思うし競技人口が少ないのはしょうがないんですけど、残しておいてほしかったなと思います
やいづ相撲クラブ1年生:
僕は1年なので3年生の時に最後の年で出られるんですけど、僕より下の子たちは出られないのでかわいそうだなと思います
廃止の狙いは教師の負担軽減で、クラブの指導者も理解は示すものの…
やいづ相撲クラブ指導者(中学教師)松浦みな美さん:
中体連の運営は中学校の先生だけでやるのは厳しくなってきているとは思うが、中体連の全国大会は大舞台でそこを目指して頑張りたいという子もいるので、自分たち指導者がその子たちが頑張れる舞台を用意できたらいいなと
廃止に戸惑いや反発の声も
廃止が決まった水泳をめぐって、日本水泳連盟は「今回の急な方針発表のタイミングには唐突感を持ちながら諸対応しているところです」と戸惑いをにじませる声明を発表しました。
また教育評論家の尾木直樹さんは…
教育評論家・尾木直樹さん:
子どもたちの夢や目標をいきなり大人がばっと足蹴にして、強引で乱暴すぎる。代案を出さないとダメですね
教師の負担軽減などが背景に
なぜ規模縮小する必要があるのか?
日本中学校体育連盟は「部活動の設置率が20%未満だった競技」を対象としたと説明し、理由として少子化への対応や教師の負担軽減を挙げました。
一方、名古屋大学の内田良 教授は「大きな一歩」だと評価しています。
名古屋大学・内田良 教授
(部活動の顧問の教員は)土日に出勤しなければいけない。ほとんど残業代のつかない、手当がつかない状況でやっている。全国大会のあり方を変えない限りは教員の働き方から部活動の在り方は変わらない。大きな一歩を踏み出したなと
20競技中9競技が3年後から廃止へ
改めてこの問題を整理してみます。
全国中学校体育大会「全中」では現在20競技がおこなわれていますが、このうち水泳やハンドボールなど9競技が3年後から廃止されます。
廃止の目安としたのが中学校における部活動の設置率です。
中体連はこちらの20%未満の競技を原則廃止の対象としました。
廃止の背景として挙げられているのが教師の負担軽減と少子化への対応です。
名古屋大学の内田教授は「全国大会があることで地方大会・練習試合が組まれる」このため「教師は土日も引率し手当もない」と教師の長時間労働を指摘していてこの決定について「大きな一歩」と評価しています。
教師の負担軽減が必要な一方で選手から落胆の声も聞かれました。
内田教授は「地方大会などで負担が小さい形での運営を考えるべき」「トップアスリートを育てる場合は民間のクラブチーム、部活動はほどほどのものとすみわけして運営すべき」と話しています。
県内でも部活動の地域移行が進みつつありますが指導の外部委託も必要かもしれません
中体連は全中の縮小について競技の削減だけでなく開催を3日以内することや参加者数と経費の3割減を目標とすることなども示しています。