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「おばさん」と呼ばれても悪態をつかれても交際継続 夫に隠れて10年も二重生活 恋愛感情や肉体関係がなくなっても関係断ち切れず 最終的にはストレスを溜め込み男性殺害 55歳女に拘禁刑12年判決

静岡地裁沼津市

結婚後も別の男性との交際関係を続ける中、二重生活にストレスを募らせ、男性の母親の手を借りながら絞殺した女について、静岡地裁沼津支部は5月22日に拘禁刑12年の判決を言い渡した。

殺人罪で判決を受けたのは神奈川県松田町に住む無職の女(55)で、2025年9月、夫がいるにもかかわらず結婚前から交際を続けていた静岡県小山町の男性(当時56)を、被害者の母親と共謀して窒息死させた。

これまでの裁判によると、女は33年前に知人の紹介をきっかけに男性と知り合い交際。

一度は破局したものの、男性のことが心配になり復縁したという。

現在の夫とは職場で知り合い、2015年に結婚。

この時も男性との交際は続いていたが、夫には男性との交際関係を隠し、男性にも結婚の事実を伝えずに関係を継続した。

2018年頃になると、男性が仕事を辞め無職に。

家に引きこもるようになったため、女は週に数回は自宅を訪れ、酒やタバコなど頼まれたものを買って持って行ったり、携帯電話の料金を支払ったり、洗濯をしたりと身の回りの世話を続けた。

男性は当初こそ謝意を示していたものの、次第に世話をしてもらうことが当然であるかのような態度に変わり、難癖をつけたり、悪態をついたりするようになったそうだ。

2025年になると、男性は女について「おばさん」と呼ぶようになり、女は仕事が忙しくなったこともあって強いストレスを感じるようになった。

すると、6月頃には「男性が死んでくれたらいいのに」と殺害を考えるようになり、夏頃には男性と夫の双方に隠れて二重生活を続けることにストレスを溜め込み、「男性がいなくなれば私の生活が楽になる」と思案の末に殺害を決意したとされている。

一方、男性の母親は同居こそしているものの折り合いが悪く、男性には干渉せずに生活していて、事件の1週間ほど前には、女に対して働かない息子について愚痴をこぼすとともに「同じ家にいるのがつらく、働いている時間の方が気晴らしになる。面倒を見てもらって申し訳ない」と話していたことがわかっている。

5月22日の判決公判で、静岡地裁沼津支部の薄井真由子 裁判長は女が男性の背後からネクタイを使って首を絞め、犯行を知った男性の母親から救急車を呼ぶことを提案されても思いとどまることなく再び首を絞めたことについて「強い殺意に基づく犯行」との見解を示した。

女が犯行前日に凶器であるネクタイを準備していることから、薄井裁判長は「一定の計画性は認められる」と指摘しつつ、遺体を場当たり的に押し入れに隠したことなどを指し、「計画に周到さは認められない」としている。

女は男性との交際当初、男性から暴力を受けたり、脅されたりしていて、男性の世話を日常的に行うようになってからは機嫌を損なわないように気を遣う一方、男性の横柄な態度に怒りを覚える状況に疲弊し、ひとりで思い詰める中、交際関係の解消を切り出せば危害を加えられるとの思いから殺害を決意するに至っていて、こうした経緯について、判決では「女に同情すべき面もある」と認められた。

ただ、女が男性との関係を断ち切るために取り得る手段があったのに、そのような行動をあえてしなかったことに加え、事件当時、男性は足腰が弱っていて、客観的に見て危害を加えられるような状態になく、女もこうした状況を認識していたことから「犯行に至る経緯を量刑上考慮するにしても限定的なものに留まる」と判断されている。

その上で、夫が婚姻を継続して女を支える意向で、女自身も反省の態度を示していることなどを加味して薄井裁判長は拘禁刑12年(求刑:拘禁刑15年)の判決を言い渡した。

なお、男性の母親を犯行に関わらせたことは女の刑事責任の軽重には影響しないと判断されたことが判決の中で明らかにされている。

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